本研究は,疼痛を正確に捉えることが困難な精神疾患患者に対する看護師の疼痛アセスメント能力を高めるために,「疼痛アセスメント能力自己評価尺度-精神科看護師用-」を開発することを目的とした.平成25-26年度は「疼痛アセスメント能力自己評価尺度案-精神科看護師用-」を作成し,その妥当性・信頼性を検討した.1129名の精神科勤務看護師を対象として質問紙調査を行ったところ,回収率は78.7%.有効回答は89.5%であった.因子分析,信頼性係数の算出結果を元に考察し,最終的に27項目の尺度を作成した.さらに,臨床看護師の疼痛アセスメント能力を高めるための支援方策の検討として,疼痛アセスメント能力自己評価尺度得点と対象者特性の関係探索を行った.その結果,一般病院に所属している,精神看護実践のやりがいが高い,精神看護実践能力自己評価が高いことが疼痛アセスメント能力自己評価尺度得点を高める要因となっていることが明らかになった.また,疼痛アセスメント能力自己評価尺度得点は,年齢や臨床経験年数,職位による差がなく,精神看護経験年数が長くなると得点が低下する傾向を示した. 以上から,精神看護師の疼痛アセスメント能力を高めるためには,精神看護実践経験を積むだけではなく,内科や外科などの精神看護以外の経験をすることや,精神看護にやりがいを持ち関心を寄せること,精神看護実践全体の能力を高めるという取り組みが必要であると示唆された.また,疼痛アセスメント能力自己評価尺度は妥当性・信頼性が確保されたため,教育効果確認の指標として活用可能である.
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