研究課題/領域番号 |
24792399
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
名古屋 紘子 宮城大学, 看護学部, 助教 (10613680)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 新人教員 / 実習指導 / 看護系大学 / 支援プログラム |
研究概要 |
本研究の目的は、看護系大学に勤務する新人教員が実習指導において直面する困難と、それらに対する対処の方法を把握して課題を検討し、これを基盤に新人教員に対する実習指導支援プログラムを検討することである。本研究の初年度である平成24年度は、予備調査として看護系大学に勤務する新人教員の実習指導における体験の調査と、その結果を基盤とした質問紙の作成を目的とした。関連する先行研究についての文献検討の結果として、新人教員の中心的課題は実習指導能力の向上であることは共通して述べられており、これに対する取り組みとして授業リフレクションを活用すること、および実習場面の教材化について理解を深められる機会を得ることなどの有効性が示唆された。 研究に対する準備として、前年度に新人教員であった筆者自身の実習指導記録を用い、新人教員の実習指導の実際と今後の課題について分析・考察した内容を関連学会にて発表した。これらの研究において筆者は、教授・准教授からの指導を受ける中で学生の思考プロセスを重視した意図的な指導の必要性に気付き、思考錯誤を繰り返しつつその方法を変化させていたことが明らかになった。この結果から、本研究の目的とする実習指導支援プログラム作成のために、教育経験の浅い教員の活用する指導方法と、指導力向上に必要な取り組みに関して更なる研究の必要性が生じた。 平成24年度は看護系大学に勤務する新人教員に対する予備調査を実施予定であったが、その準備段階として取り組む必要のある研究課題が明らかになったことにより、当初の計画通りの調査の実現は困難であった。次年度の見通しとして、予備調査をすすめて新人教員に対する質問紙調査を作成して実施すること、その結果を基盤として、支援プログラムを立案していくことに取り組んでいく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成24年度は、看護系大学の新人教員が体験する実習指導上の困難とその対処について、文献検討及びインタビューによる予備調査のうえで質問紙を作成することまでを完了する計画であったが、文献検討を中心とした実施に留まり、当初の計画より遅れている。 本研究に対する準備として実施した実習指導に関する研究結果より、教育経験の浅い教員の活用する実習指導の方法と、指導力向上に必要な取り組みに関して明らかにすることが、本研究目的達成のための基盤として重要であることが明らかになり、更なる研究の必要性が生じた。これに対する取り組みを優先的に進めているため、当初の研究計画に沿いつつ本研究を進めることが困難であった。さらに、本学を含め、予備調査を予定していた東北圏内の看護系大学は少なからず東日本大震災の影響を受けている。このことも関連し、各校の協力を得て調査対象となる教員の選定を行うことが円滑に進まなかったと考える。調査対象の教員や研究者本人の時間的制約と実現可能性を検討しつつ、研究計画の見直しを加える。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、本研究の基盤として新たに取り組んでいる教育経験の浅い教員の実習指導力向上に必要な取り組みに関する研究の結果を踏まえ、平成24年度に実施予定であった質問紙の作成と質問紙調査の実施に向けて必要な準備を整えたうえで調査を実施する。質問紙の作成に向けて、看護系大学の教員となり3年以内の教員に対してインタビューを実施する方針である。インタビューについて、当初は東北圏内の看護系大学の教員に対しての実施を検討していた。しかし、宮城県内には本学を含めて4校の看護系大学が存在し、本学以外の3校は共に、看護学部(学科)を創設して数年以内の新しい大学である。この状況から、まずは文献検討の結果から情報を整理し、質問紙調査とインタビューへの活用の可能性を検討したうえで、県内の看護系大学教員におけるインタビューから優先的にすすめるよう計画を変更していく。 インタビュー、質問紙調査の実施を経て、看護系大学の新人教員に対する実習指導支援プログラムの検討・立案を進める方針であり、その有効性の検証を今後の課題としていく方針である。
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次年度の研究費の使用計画 |
新たに見出した研究課題の実施において必要な書籍等の購入をはじめ、インタビューの実施に伴い、その謝金や旅費が生じるために、研究費を使用していく見通しである。更に、質問紙調査の実施により、印刷に係る費用、郵送費等が生じる。 これらの実施に伴い、関連書籍や関連文献についても新たに入手が必要となることが考えられ、必要な物品は引き続き購入していく。
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