研究課題/領域番号 |
24792399
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
名古屋 紘子 宮城大学, 看護学部, 助教 (10613680)
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キーワード | 新人教員 / 実習指導 / 看護系大学 / 支援策 |
研究概要 |
本研究の目的は、看護系大学の新人教員が実習指導において直面する困難と、それらへの対処の方法を把握して課題を明らかにし、新人教員の実習指導力向上に必要な支援策を検討することである。当初の研究計画では、新人教員の体験が想起可能な看護系大学の若手教員へのグループインタビューと質問紙調査により研究目的を達成することとしていたが、筆者自身の指導記録の分析から実習指導方法や直面した困難とその対処を明らかにし、これを基盤にグループインタビューを実施して新人教員の実習指導力向上に向けた支援策の検討を行うことと計画を変更した。 平成25年度は、教育経験の浅い教員が実践する実習指導方法を明らかにすると共に実習指導力向上のために必要な取組みを検討し、学位論文(修士)をまとめた。本研究は、教員経験2年目の筆者自身が老年看護学実習において認知症高齢者を受持つ学生に対して実践した指導内容および実習施設との調整内容の記録、また筆者の認識の内容の記録をデータとしており、教員が【発問】【促し】【承認】など14の指導方法を活用し、学生の実習目標達成を目指した指導を実践していたことが明らかになった。また、5カ月間の実習指導の初期に「実習施設と連携して学生の学習環境を適切に調整できない」ことや「教授・准教授の助言を指導に活用できない」ことに自信のなさ・焦りを強く認識して実習指導上の困難に直面しており「自己の実習指導記録を基に教授・准教授と共に教育を振り返る」機会や「指導上、判断に迷った事柄を教授・准教授に報告・相談し助言を得る」機会を活用して実習指導を実践していたことが明らかになった。 これらの結果の一部を日本看護学教育学会第23回学術集会(2013年8月)において発表した。平成26年度の関連学会や学会誌において全体の結果を公表予定である。 なお、本研究における新人教員を「教員経験2年目までの教員」と定義する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
変更した研究計画に沿い、平成25年度は筆者自身の実習指導記録をデータとした研究を実施し、新人教員の実践した実習指導方法および直面した困難、活用した支援を明らかにした。この結果を基盤に、看護系大学の若手教員に対して新人教員の時の困難や活用した支援についてのグループインタビューを実施する計画であったが、先行して実施した研究の分析に時間を必要としたこと、また研究参加者となる宮城県内の若手教員の選定が円滑に図れなかったことにより、平成25年度中にインタビューを実施することができなかった。研究は計画の2/1程度の達成状況であり、遅れている。 平成26年度は、グループインタビューによるデータ収集とその分析を実施し、研究目的を達成できるよう実施計画を綿密に立案して実施していく。
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今後の研究の推進方策 |
グループインタビューの確実な実施のため、研究参加者の選定方法について以下のような計画へ修正する。①参加者募集の範囲を、宮城県内の3校の看護系大学から東北圏内の14校の看護系大学に拡大する。参加者が8名以上となる場合には、グループインタビューを2回に分けて実施するなど、より豊富なデータを収集できるために調整を図る。②研究参加者の条件を満たしている教員に確実に協力依頼ができるよう、看護系大学の学部(科)長に直接連絡して教員の紹介を依頼し、改めて教員本人に依頼することとする。この際、強制力が働かないよう、研究協力の依頼は研究者が直接実施することとすると共に、倫理的配慮を十分に行う。 グループインタビューにより得られた結果は質的帰納的に分析し、実習指導上の困難と活用した支援の内容を明らかにする。なお、参加メンバーの相互作用が加わることにより、より有効な意見や新しい方策が見出される可能性が高いというグループインタビューの特性を生かし、新人教員に必要であると考える支援内容や、困難な体験を軽減するための方略などについてのデータ収集・分析も試みることとする。 以上の研究結果と、新人教員の実践した実習指導方法および直面した困難、活用した支援に関する先行研究の結果を踏まえ、研究目的を達成していく。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の研究計画では、新人教員の体験が想起可能な看護系大学の若手教員へのグループインタビューと質問紙調査により研究目的を達成することとしていたが、筆者自身の指導記録の分析から実習指導方法や直面した困難とその対処を明らかにし、これを基盤にグループインタビューを実施して新人教員の実習指導力向上に向けた支援策の検討を行うことと計画を変更したために、平成25年度までにグループインタビュー等に必要な費用を使用する機会がなく、次年度使用額が生じた。 平成26年度は、25年度までの研究成果を基盤に看護系大学の助教を対象としたグループインタビューを実施する計画であり、インタビュー実施に伴い必要な物品、研究協力者に対する旅費等や会場費として使用していくほか、データ入力等の費用として使用する。 また、前年度までに実施した、筆者自身の指導記録の分析から実習指導方法や直面した困難とその対処に関して明らかにした研究の成果を複数の関連学会にて発表する予定であり、その参加費および旅費として活用していく。
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