研究課題/領域番号 |
24792409
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
明野 伸次 北海道医療大学, 看護福祉学部, 講師 (40364260)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 看護技術 / 手 / 安楽 / 触覚 / タッチ |
研究概要 |
本研究は、看護師の行為によって対象者が感じる「手がやさしい」「身体をあずけられる」というような感覚をもたらす、手の使い方に注目した「わざ」の解析を目的とする。 平成24年度は、以下の内容を実施し成果を得た。 1.日常的な看護行為に伴う看護師の手の接触が対象者にもたらす意義 上記について、国内外の文献を対象にレビューを行った。その結果、対象者にもたらす意義として、「不安や緊張の軽減」、「快適さの促進」、「関心の伝達」が明らかとなった。「不安や緊張の軽減」に関しては、血圧測定などの接触においてもセラピューティックタッチなどと同様の効果を見込める可能性があるとされた。「快適さの促進」に関しては、洗髪時の頭の支え方などに見られる丁寧さが、患者に快の感覚をもたらすことが明らかとなった。「関心の伝達」は、手の接触における確実性によって対象者は看護師のケアと関心を評価していた。以上から、日常的な看護行為に伴う手の接触は、手の使い方によって対象者に安楽さや快適さをもたらすことが示唆された。 2.熟練看護師と初学者の手の使い方 看護師と看護学生を対象に、患者役の頭部を持ち上げて枕をずらす行為における手の使い方について実験した。データ収集には、ワイヤレス触覚測定システム(PPS 社 Finger TPS)のセンサを手指・手掌に取り付け、患者役の頭部に触れている部分とその強さを経時的に抽出した。センサの取り付け位置は先行研究を参考に、第1.2.5指の末節骨部、第3指の基節骨部、手掌の5カ所とした。結果、学生は左右の指を同時に患者役の頭部にあてて頭部を持ち上げるが、看護師は片方の指から患者役の頭部にあてて、その後もう片方の指を使っていた。接触部分の強さは、看護師・学生ともに第2.5指の末節骨部が強く、学生の方が看護師より強かった。今後は、対象者数を増やし、患者役の主観的反応を併せて検討したい。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、看護師の行為によって対象者が感じる「手がやさしい」「身体をあずけられる」というような感覚をもたらす、手の使い方に注目した「わざ」の解析を目的とする。 平成24年度は、1.「日常的な看護行為に伴う看護師の手の接触が対象者にもたらす意義」と、2.「熟練看護師と初学者の手の使い方」について明らかにした。 1については、本研究の目的である、「看護師の行為によって対象者が感じる「手がやさしい」「身体をあずけられる」というような感覚をもたらす」ことについて先行研究から意義を検討した。その結果、看護師の手が直接対象者に触れるという看護技術の特性について、1970年代以降タッチというテーマで探求されているが、日常的な看護行為に伴うものに焦点を当てた研究は極めて少ないのが現状であった。しかし、看護師が対象者と触れる機会は、清拭や洗髪、体位変換などの日常的な看護行為によるものが最も多いと考えられ、対象者に何らかの影響を与えていることは想像に難くない。そこで、国内外の文献を対象にレビューを行ったところ、日常的な看護行為に伴う手の接触は、手の使い方によって対象者に安楽さや快適さをもたらすことが示唆された。よって、日常的な看護行為に伴う手の使い方を明らかにする意義が明確になった。 2については、本研究の目的である、「手の使い方に注目した「わざ」の解析」についてプレテストを行った。その結果、看護師と学生において手の使い方の違いが明らかになった。よって、今後は、接触部分の物理的な特徴と安楽さの関連の検討が必要であるが、実験のプロトコルは概ね妥当だと判断できた。 以上から、「おおむね順調に進展している」と評価します。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、看護師の行為によって対象者が感じる「手がやさしい」「身体をあずけられる」というような感覚をもたらす、手の使い方に注目した「わざ」の解析を目的とする。 平成25年度は、以下を推進方策とする。 1.看護師と学生の対象者を増やしデータ収集を行う。 2.患者役の安楽さを測定するため、主観的データを1と併せてデータ収集する。 3.1.2のデータから、患者役の安楽さにつながる手の使い方を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究補助謝金と研究協力者謝金、学会発表および参加費が大部分を占める予定であり、当初の予定と大きな変更はありません。
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