研究課題/領域番号 |
24792421
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研究機関 | 西南女学院大学 |
研究代表者 |
梶原 江美 西南女学院大学, 保健福祉学部, 講師 (00389488)
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キーワード | ラテックスアレルギー / 看護基礎教育 / 学生 / 医療従事者 / 看護師 / 予防 / スクリーニング / 文献検討 |
研究概要 |
前年度に引き続き看護学生100名にLAに関する質問紙調査を実施した。その結果、大学に入学するまでの間にゴム製品でアレルギー症状がでた経験のある学生は3名(3%)いた。パッチテストは、ラテックスの曝露量が少ないためにスクリーニングの検出力としては低い。そのため、今年度はガイドラインに準じた使用テストに変更し、医師の同席の下で行った。質問紙でゴム製品に対するアレルギー症状が出たことのある学生3名は使用テストからは除外した。使用テストの結果、7名(7%)にアレルギー症状が出現し、その内、アトピー性皮膚炎の既往を持つ学生は2名だけだった。ゴム製品でアレルギー症状が出た経験を持つ3名と使用テストで症状が出た7名は、無菌操作を学習する看護技術演習では、ラテックスフリー手袋を使用した。他の学生はラテックス製手袋を使用した。この演習で、ラテックス製手袋をつけた5名が、新たにかゆみや発赤等のアレルギー症状が出現し、2回目以降の演習では、この5名もラテックスフリー手袋を着けて対応した。以上のことから、質問紙調査と使用テストのみスクリーニングをすることは難しく、今後は、無菌操作を学習する1回目の演習を第3段階のスクリーニングとして位置づけるよう検討する。継続して実施した看護師への質問紙調査では、LAの知識量は少ないことがわかった。 この他に、①国内外の10年間のLA予防についての文献検討、②ラテックス製手袋を使うと予想されるコメディカル(助産師・薬剤師・臨床検査技師・歯科衛生士)の資格試験の出題を調査した。結果、①については、海外文献では、質問紙調査の他にスキンプリックテストやラテックス特異IgE検査を併用して行っていることが多く、国内での予防に関する文献は少なかった。②では、過去の資格試験でLAについての出題はなかった。 以上のことより、国内でのLAの認知は低く、何らかの対策が必要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
LA予防の実態把握を目的に今年度の計画として4点挙げていた。4点の内容は、①過去10年間の国内外のLA予防に関する文献検討、②海外の基礎看護技術のテキスト内でのLAの記載状況の把握と海外の看護師資格試験での出題状況の把握、③国内のコメディカルの資格試験でのLA出題状況の把握、④LAに関する裁判判例の把握である。 ①については、文献データべースであるPub Medと医学中央雑誌を用いて分析を行った結果、質問紙を用いて調査している論文が多く、質問紙と併せてスキンプリックテスト(SPT)やラテックス特異IgE検査を実施している論文が多かった。文献数は減少傾向であるが一定量の報告が続いていることも分かった。結果については学術集会で発表を行った。 ②については、海外での基礎看護技術のテキストの選定に時間がかかり、現在内容を分析中である。海外の看護師資格試験での出題状況については出題された問題の収集が難しく、実行できていない。 ③については、協力者らと共にラテックス製手袋を使う機会がある助産師・薬剤師・臨床検査技師・歯科衛生士の資格試験の出題を調査し、学術集会で発表をすることができた。 ④については、国内でのLAに関する判例はみつかっておらず、LAへの認知度が低いことが一因にあると考えているが、海外での判例を調査していないので一概には言えない。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、これまで行ってきた学生への質問紙調査や使用テスト、看護師に行った実態調査、国家試験やテキストでの記載内容の状況を含めて、LA予防に向けたスクリーニング法を確定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
LA予防のためのスクリーニング法を構築するために学生への質問紙調査とラテックス製手袋を使った使用テストを継続して実施し、データ数を増やして分析していく。また、海外でのLA予防に関連する実態を把握ために、海外テキストや海外での看護師資格試験の分析について継続して行っていく予定である。 同時に平成26年度は最終調査年であるため、調査の成果を国内外で発表していく予定である。 調査およびデータ分析に必要な物品を購入していく。具体的には、質問紙調査や海外テキストや文献収集、データ整理のための人件費などである。 また、調査結果は、適宜関連学会等で成果を報告する。そのため、旅費を含めて学術集会への参加に使用する予定である。
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