最終年度となる平成26年度は、看護基礎教育においてラテックスアレルギー(LA)を予防するためのスクリーニングの確立を目指した。具体的には、看護学生100名を対象に質問紙調査と使用テストを行った。前年度、スクリーニング方法をパッチテストから使用テストへ変更し、LAリスクのある学生にはラテックスフリー手袋を使用し、他の学生はパウダーフリーラテックス製手袋を装着して、無菌操作の看護技術演習を実施した。この技術演習でスクリーニングでは抽出できなかった5名の学生にかゆみや発赤などの皮膚症状がみられたため、ラテックス製手袋を使用する1回目の演習を第3段階のスクリーニングとして位置づけるかどうかの検討を行った。検討後、初期に行う質問紙調査と使用テストの後、期間を置いて再度使用テストを試み、その後に無菌操作の看護技術演習を実施した。2回目の使用テストで新たに5名(5.1%)が加わり、ラテックスフリー手袋装着の該当者は98名中29名(29.6%)だった。その後の看護技術演習でアレルギー症状を訴える学生はいなかった。 これまでの一連の結果から、スクリーニングとして、質問紙調査による日常生活でのゴム製品によるアレルギー症状の経験者とLAリスク要因となっているアトピー性皮膚炎の既往者、2回の使用テストによる痒みや発赤などの皮膚症状および呼吸器症状の出現者を抽出することで看護技術演習でのLAを回避する方法を選択することにした。 さらに、海外でのLAに関する認識について、英語で書かれた基礎看護技術のテキストを基に調べた。その結果、17冊中Indexに「latex」の表記がないのは3冊だけであった。他14冊では、ラテックスによるアレルギーの存在がすべてに記載されており、LAの要因や症状、対応や感作率を記載しているテキストが半数以上を占め、日本においても看護基礎教育の初期段階でLA予防教育を盛り込むことの重要性を再認識した。
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