研究課題/領域番号 |
24792424
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 一樹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60583789)
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キーワード | ターミナルケア / 緩和ケア / 在宅医療 / 保健医療水準保証 |
研究概要 |
本研究は、信頼性、妥当性、実施可能性の保証された在宅緩和ケアの質の簡便な評価方法を開発することを目的とする。研究年度2年目では、在宅緩和ケアの質の評価項目案の信頼性・妥当性・実施可能性の検討として前向き調査を行った。具体的には、研究年度1年目に開発した調査票を用いて、在宅緩和ケアを受けて死亡した患者を対象に前向きカルテ調査を行った。 【対象】対象施設は、終末期がん患者に専門的な在宅緩和ケアを提供する診療所の全国的な組織である緩和ケア診療所連絡協議会の会員施設のうち調査に協力した18施設とした。すべての施設が年間看取り数20名以上の在宅療養支援診療所である。対象者は、対象施設から在宅診療を受け、2013年6月~11月に死亡・在宅診療中止した全てのがん患者とした。 【方法】対象患者の死亡・在宅診療中止時に前向きにカルテ調査を行った。なお、在宅診療中止とは、在宅診療の中断後に在宅診療が再開されなかった場合とした(例:レスパイト入院などは含まない)。カルテ調査は、対象施設の事務職員または医療者が行った。倫理的配慮として、東北大学大学院医学系研究科倫理委員会の承認を得た。また、研究の目的や方法、対象者となることなどについて被験者となる患者に対してポスター掲示やホームページ掲載によって情報提供を行った。 【項目】患者・家族背景、転記、在宅診療中止理由、療養場所の希望、症状、利用サービスなど 【現在の進捗と来年度の計画】2014年3月末時点で、参加18施設のうち16施設から調査票を回収した。全施設から回収し次第、各施設に報告書をフィードバックする。研究年度3年目は、カルテ調査参加施設のうち協力の得られた施設で遺族調査を行い、在宅緩和ケアを受けた終末期がん患者のQuality of Care (QoC)やQuality of Life (QoL)の実態を明らかにする。カルテ調査のデータと連結し、QoLやQoCの関連要因を分析し、在宅緩和ケアの質の評価指標を同定する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的である「信頼性、妥当性、実施可能性の保証された在宅緩和ケアの質の簡便な評価方法を開発」のために計画した、研究年度1年目の在宅緩和ケアの質の評価項目案の作成、研究年度2年目の在宅緩和ケアの質の評価項目案の信頼性・妥当性・実施可能性を検討する前向き調査を概ね計画通りに実施したため。 なお、研究年度2年目の調査では専門的な緩和ケアのトレーニングを受けていない一般的な在宅療養支援診療所での調査を計画していたが、一般的な在宅療養支援診療所での全国調査の前に、専門的な在宅緩和ケアを提供する在宅療養支援診療所での調査方法を確立することが必要であると考え、一般的な在宅療養支援診療所での調査を実施しなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究年度3年目はカルテ調査の対象患者の主介護者を対象に遺族調査を行う。調査項目は、在宅緩和ケアを受けた終末期がん患者のQuality of Care (QoC)やQuality of Life (QoL)、在宅診療中止患者の遺族に対しては在宅診療中止理由や在宅診療中止の遺族による評価を尋ねる。カルテ調査のデータと連結し、QoLやQoCの関連要因や在宅死亡患者と在宅診療中止患者での比較などを分析し、在宅緩和ケアの質の評価指標を同定する。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額である。 次年度には遺族調査を行う。遺族調査は、1名の実施に対して印刷費約50円(調査票、依頼書、送信用封筒、返信用封筒)、郵送費約350円(送付140円、返信92円、督促50%に実施)の計400円が必要になる。1000~2000名程度の規模での遺族調査を計画しており、40~80万円の支出となる。また、成果の公表のため、学会参加のための旅費や英文論文の校正費用が必要となる。平成26年度分とあわせて使用予定である。
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