研究課題/領域番号 |
24792424
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
佐藤 一樹 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60583789)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ターミナルケア / 緩和ケア / 在宅医療 / 保健医療水準保証 |
研究実績の概要 |
本研究は、信頼性、妥当性、実施可能性の保証された在宅緩和ケアの質の簡便な評価方法を開発することを目的とする。平成24年度は、文献レビューとフォーカスグループインタビューから在宅緩和ケアの質の指標・実態をあらわす項目を抽出して調査票を作成し、専門的な在宅緩和ケアを提供する在宅療養支援診療所1施設でのパイロット調査により表面的妥当性と実施可能性を確認した。平成25年度は、年間看取り数30名以上の在宅療養支援診療所16施設の在宅診療を受けて2013年6月~11月に在宅診療中止・終了したがん患者を対象に、作成した調査票を用いた前向き調査を行った。平成26年度は、前向き調査の統計解析と前向き調査の対象者のうち死亡したものの遺族を対象とした緩和ケアの質評価の質問紙調査を行った。なお、遺族質問紙調査は、本研究の対象者を対象とする同内容の遺族調査が別の研究組織により実施されたため、その遺族調査データを二次利用することとした。 【前向き調査の結果】 2013年6月1日~11月31日に在宅診療を終了・中止した全がん患者911名について前向きに診療録調査を実施した。在宅診療の転帰は、自宅死亡792名(87%)、在宅診療中止119名(13%)であった。在宅診療中止の89%が入院のためで、そのうち38%(40名)が看取り目的の入院であった。施設を変量効果とした多重ロジスティック回帰分析により、患者・家族の看取り場所の希望、在宅診療開始時の呼吸困難感や全身状態の低下、配偶者が主介護者で介護力に問題がないこと、在宅療養中の入院歴が独立した関連要因であった。 【遺族質問紙調査の概要(他研究組織が実施)】 前向き調査の対象施設のうち「遺族によるホスピス・緩和ケアの質の評価に関する研究」への参加に同意した任意の6施設で、各施設にて2014年1月31日以前の死亡した患者80名の遺族を対象とし、緩和ケアの構造・プロセス・アウトカム評価について自記式質問紙調査を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
他研究組織が実施した遺族質問紙調査データを二次利用して本研究の前向き調査データと連結して分析予定であるが、その遺族質問紙調査のデータ提供が平成27年5月となる見込みであるため。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度に実施した前向き調査と平成26年度に実施した遺族質問紙調査データ(平成27年5月に利用可能見込み)を連結して分析し、在宅緩和ケアの質の簡便な評価指標を抽出する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成26年度に遺族調査を行い、平成25年度に行った前向き診療録調査と連結した分析を行う予定であった。他研究組織で同様の遺族調査を行う計画であったためにその遺族調査データを二次利用することとし、遺族調査の調査時期を患者の死亡後6ヶ月以降としたこと、多施設調査であるために調査の進捗が遅れたことから、研究期間内に本研究計画を遂行できず未使用額が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度は平成26年度までに行った調査データを分析し、学術大会や英語論文で発表する。したがって、成果公表のための学会参加旅費、英語論文校正料、投稿料が主な使用使途となる。
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