研究実績の概要 |
平成26~27年度には、平成25年度に行った診療記録調査データの分析と診療記録調査の対象患者の遺族アンケート調査データの分析を行った。 【診療記録調査データの分析】(対象)対象施設は、年間看取り数が30名以上の任意の在宅療養支援診療所16施設とした。対象者は、対象施設から在宅診療を受け、2013年6~11月に死亡または在宅診療を中止した全がん患者911名であった。(手順) 対象者の死亡または在宅診療中時に対象施設の医療者が前向きに調査票に記入した。(項目)患者・家族・介護背景、在宅診療開始時の患者・家族の問題、在宅診療の転帰などを調べた。(分析)在宅診療の転帰を在宅死亡(老人ホーム含む)と在宅診療中断の2値変数とし、在宅死亡の関連要因を探索した。(結果)多変量解析の結果、患者・家族の看取り場所の希望、呼吸困難や嘔気の問題、介護者不在の問題、在宅診療中の入院歴が自宅死亡/在宅診療中止の独立した関連要因であった。 【遺族アンケート調査データの分析】 (対象)診療記録調査対象施設のうち、6施設が遺族アンケート調査に参加した。対象施設から在宅診療を受け2013年6月~11月に在宅死亡した363名のうち、175名(48%)から有効回答を得た。(方法)患者の主介護者であった遺族対象の自記式質問紙調査を行った。(項目)終末期のケア評価尺度Care Evaluation Scale, CES、終末期のQOL評価尺度Good Death Inventory, GDI、終末期の介護体験評価尺度Care Consequence Inventory, CCIを用いた。(分析)CES、GDI、CCIの関連要因を探索する。(結果)多変量解析の結果、CESやCCIの介護負担には患者の年齢や性別、患者や家族の看取り場所の希望等が独立した関連要因であり、GDIには患者の年齢・性別のみが独立した関連要因であった。
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