本研究は、術後せん妄発症予測スケールの開発を目指し、①術後せん妄の発症状況と発症要因の把握、②発症要因の重み付けを行い発症予測因子を探索する、③術後せん妄発症予測スケールの開発の3つを明らかにすることを目的に研究を実施した。 この目的に基づき、平成24年度には文献検討とせん妄研究者との術後せん妄発症予測に関連する要因の検討を実施した。平成25年度には先行研究で得られた結果を基に、術後せん妄発症要因調査表の作成・改定を行った。調査表の内容としては、高齢、見当識障害、視覚障害の有無、低栄養、低酸素状態、不眠、ベンゾジアゼピン系の薬剤の使用、排泄への不適切な対応、不安、入院に納得していない・不満などを項目として入れた。この調査表の調査項目に関しては、せん妄研究者と臨床で5年以上の看護師経験を持つ者により内容の妥当性を検討・確認した。データ収集は甲信地方のA病院で、手術実績の状況調査とせん妄の発症状況、術後せん妄発症要因調査票のプレテストを行っている。 プレテストの途中であり、症例がまだ多くないため、術後せん妄の発症はみられていない。発症要因としてチェックされるものとして、高齢、視覚障害、聴覚障害などが挙がっており、今後、術後せん妄発症例についてのプレテストを実施することで、再度、術後せん妄発症要因調査表の検討を行った上で本調査を行う。また、昨年度から研究実施施設の確保を行ってきていたが、東海地方の病院施設での調査が決まっている。
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