本研究の目的は,タブレット端末を用いた実習前看護演習を実施することで、学生の実習に対する準備性を支援し、術後管理技術の知識と技術の習得と、術後管理技術を用いた実習成果の実態を明らかにすることである。 研究対象者は看護大学生3年生で成人急性期・リハビリテーション期実習履修者57名であった。 タブレット端末を用いた実習前看護演習の実施方法は,①タブレットを用いた自己学習 ②自己学習を踏まえた演習での技術の実施 ③実施の振り返りと記録である。タブレットを用いた自己学習では、術後患者の観察に必要となる一連の「術後管理技術」について15~20分程度のコンテンツを作成し、端末ごと1名1台ずつ学生に貸し出した。 結果は、タブレットによる自己学習として自宅での視聴回数は平均9.7回±5.3回、2回~23回(min~max)であった。タブレットによる事前学習により「術後患者のイメージが持てた」、「自分が実施する行動の予測ができた」と8割以上の学生が回答していた。また、タブレットを用いることで「関心を持って取り組めた」、「術後管理技術に対する理解が深まった」と8割以上の学生が回答していた。「術後管理技術」の実施状況は、学生自己評価で平均97.4±12.6点(120点満点中)で、「できた」「だいたいできた」と回答したものが多かった。自己学習としてのタブレット視聴回数については個人差があるものの、多くの学生の予測性や準備性は高められたと考える。また学生の周手術期看護に対する興味を刺激し、学習の動機付けに貢献できる方法であると考えられた。
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