研究課題/領域番号 |
24792437
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
黒田 裕美 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50512042)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | セリフモニタリング / 慢性心不全 / ボディイメージ |
研究概要 |
慢性心不全患者のセルフケア行動の獲得には、セルフモニタリングが重要とされている。しかし、慢性心不全患者は変化する身体の症状や徴候を捉えることが難しく、セルフモニタリングが困難であることが推察される。本研究では、慢性心不全患者の身体の捉え方について調査を行い、慢性心不全患者のセルフモニタリングの特徴や視点、セルフモニタリングに影響する因子を検討することである。平成24年度は研究実施計画に沿って、慢性心不全患者を対象にボディ・イメージや身体の理解、活動基準について質問紙及びインタビューにて調査を行った。以下のような結果を得たので報告する。 1)対象者の概要:対象者は5名であった。年齢は30代1名、40代1名、60代1名、70代1名、80代1名であった。 2)質問紙(ボディ・イメージ・アセスメント・ツール):(1)「身体コントロール感の低下」がすべての患者でみられた。(2)「身体カセクシスの混乱」と「身体尊重の低下」は、30~40代の患者2名の得点が低下した。 3)インタビュー:(1)慢性心不全患者の身体の理解は心臓病がある身体は自覚する症状として捉えていた。(2)どの患者においても身体の調子の良さを判断する独自の基準を持っており、症状の微妙な変化を認識していた。それらは「動悸」「脈拍」「尿量」などの客観的な指標と「朝起きた時の感覚」「気分の良さ」「感じる」など主観的な指標があった。(3)60~80代の患者は心不全になった段階で社会的役割や経済的役割を終え、家族等の他者に頼ることができていた。しかし、30~40代の患者は過度の負荷がかかっていることや心不全症状の悪化があることを感じていていても、社会的役割や経済的役割などを優先させていた。 今後は対象者を増やし、更なる検討を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度は研究施設における調査を行った。対象者は5名おり、それらに対して質問紙及びインタビュー調査を実施した。5名分のインタビュー内容は逐語録を作成した。 現在までの達成度は、対象者数が当初の予定していた人数の半数に満たっていない状態であり、当初の予定よりやや遅れている。その理由として対象者の選定基準に該当する患者が少なかったことや1施設における調査であったことが考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、対象者が5名と少なかった。対象者数を増やすため、対象施設を1施設から3施設に増やし調査を継続する。 平成25年度の計画は、1)データ収集を継続する、2)得られたデータの分析を行う。質問紙は統計的に分析を行い、基本属性や疾患・心機能に関する項目との関連を検討する。インタビューは質的帰納に分析を行い、身体的な機能や外見、身体的な知覚を抽出する。3)調査した内容を学会で発表する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究計画に沿って、調査、データの分析、学会発表を行う予定である。研究費の使用計画は、調査のための交通費、インタビュー内容の逐語録を作成するための人件費が必要となる。さらに、学会で報告する予定であることから学会への参加費や交通費に用いる。
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