慢性心不全患者のセルフケア行動の獲得には、セルフモニタリングが重要とされている。しかし、慢性心不全患者は変化する身体の症状や徴候を捉えることは難しく、セリフモニタリングが困難であることが推察される。本研究では、慢性心不全患者の身体の捉え方について調査を行い、慢性心不全患者のセルフモニタリングの特徴や視点、セルフモニタリングに影響する要因について検討することである。 平成24~25年度の研究実施計画に沿って、慢性心不全患者を対象にボディイメージや身体の理解、活動する基準について質問紙及びインタビューにて調査を行った。以下の結果を得たので報告する。 対象者は30~80歳代慢性心不全患者5名であった。対象者の負担の軽減や症状の自覚が質問紙に影響する可能性を考慮し、症状が安定した患者に対して調査した。結果、質問紙(ボディイメージアセスメントツール)では、全ての患者において「身体コントロール感の低下」がみられた。特に、30~40代の患者では「身体カセクシスの混乱」「身体尊重の低下」がみられた。インタビューでは、慢性心不全患者は身体の理解については、心疾患をもつ身体の捉え方は症状であった。「動悸」や「脈拍数」「尿量の変化」等の心不全症状を客観的な指標として身体と調子の良さを判断する独自の基準としていた。彼らは症状の微妙な変化を捉えていた。また、「朝起きた時の感覚」や「気分の良さ」「ただ感じて分かる」等の主観的な指標で調子の良さや活動する際の基準を捉えていた。 30~40代の患者はセルフモニタリングを行い、過度の負担がかかっていることや心不全症状の悪化があることを感じていても、「家族のため、良くないと思っても動く」等と社会的な役割や経済的な役割を優先させていた。今後は成人期にある慢性心不全患者と老年期にある慢性心不全患者、それぞれの特徴に応じた支援の必要性が示唆された。
|