目的;我が国において、急性白血病の発症のピークは高齢期に移行しているが、白血病の高齢患者に対する看護師の視点からの看護実践に焦点を当てた質的研究は少ない。そこで、本研究では、白血病の高齢患者への看護ケアの質向上のために、急性白血病の高齢患者に対する熟練看護師の看護実践について、質的研究を通して明らかにすることを試みた。 方法;熟練看護師9名に対して、半構成的面接を行い、ある1人の高齢患者に行った看護を中心に、診断時から治療期にかけて、どのように高齢患者の状況を判断し、どのようなケアを行っているのかについて具体的に語ってもらった。分析は、修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いた。 結果;我が国の熟練看護師は、診断直後から高齢患者との【個対個の関係構築】を行いながら、【深く広い患者理解】と【周囲との協同】を継続的に行っていた。そして、看護師は高齢患者の【長い闘病生活を最大限支える】ことを目標に、【安全な治療遂行】【副作用のマネージメント】【好ましい清潔習慣獲得への支援】【日常生活動作への働きかけ】【患者の時間・空間の確保】の5つの視点で高齢患者の看護に取り組んでいた。これらの看護師の看護には、蓄積した【白血病の高齢患者・患者への看護の実体験】が活かされていた。 結論;熟練看護師は、高齢患者への看護を行う土台として、診断当初から、高齢患者が看護師を安全基地として認識できるように、また、看護師が患者のことを全人的に理解するために積極的に関わりを持っていた。また、看護ケアを行う際には、副作用のコントロール・安全な治療遂行・清潔習慣の指導と共に、入院生活をできるだけ快適に過ごせるように援助を行っていた。援助の際には、上手に訴えられない・今さら言われたくないといった高齢患者の特徴を踏まえたり、医師と患者の関係性をケアに活用するなど、様々な工夫を行っていた。
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