研究課題/領域番号 |
24792440
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
下高原 理恵 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50404538)
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キーワード | 人体解剖学 / 看護形態学 / 摂食 / 嚥下機能 |
研究概要 |
開口反射誘発法としてのK-point刺激法の形態学的・神経学的所見を踏まえて、効果的な間接的摂食・嚥下機能訓練法の確立することが研究目的である。今年度は剖出過程において、神経細枝を切らないようにするために、水に浸し神経を浮かせながら剖出を進めた。さらに神経と血管との関係を明らかにするために、摘出標本の動脈に、着色樹脂を注入した。頭側を結紮して、動脈の太さに応じた注射針を使って手圧で注入したが、標本の固定状態や血管壁の脆さによっては、着色ゼラチン溶液やラテックスゴムの方が良好な結果を得られた。この手法を学生解剖実習中の冠状動脈に援用したところ、良好な結果が得られたので、副次的な英論文としてまとめることができた。とくに進入部位、位置関係、動脈、他の動脈との吻合関係など、従来とは異なる視点で観察にあたった。剖出過程で随時、導入したシャトルピクス・デジタルマイクロスコープを使って写真撮影を実施して最終的な立体モデル作製のデジタル資料とした。開口反射を誘発する神経である舌神経は通常、内側翼突筋外側面と下顎枝内側面でつくられる間隙を下行した後、上咽頭収縮筋下縁の高さで前内方へと向きを転じ、下顎第3大臼歯内側の粘膜下を前方に進む。今回の剖出所見では、全例に共通して舌神経の鼓索神経合流部-顎下神経節交通枝間の高さで4-6本の細枝が前下方に向かって出ていた。 口峡枝に相当すると考えられるこれらの枝は上下間で網目状の交通を形成し、口蓋舌弓付近の粘膜、臼後隆起および最後臼歯舌側部の歯肉に分布していた。一方、舌咽神経舌枝から分かれた扁桃枝は口蓋扁桃の基部に分布した後、舌根外側部と扁桃周囲の粘膜に終わっていた。このように舌咽神経扁桃枝の分布域は扁桃窩の範囲内に留まっており、口蓋舌弓を超えて前外側に広がる例は見られなかった。従って、開口反射刺激点の粘膜を支配する感覚神経は、舌神経口峡枝であると同定した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
年度研究計画に従って、追加の研究機材を購入/使用し、試料解析して結果を残せた。その成果を年度内に筆頭著者として英論文にまとめることが出来ている。
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今後の研究の推進方策 |
神経分布の形態計測を行い定量的な測定値を得るために、解析・計測用ソフトウェアを用いる。さらに、神経分布および形態を視覚的、数値的に比較・分析を進め、論文として発表する。
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