研究課題/領域番号 |
24792446
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研究機関 | 群馬県立県民健康科学大学 |
研究代表者 |
橋本 晴美 群馬県立県民健康科学大学, 看護学部, 講師 (20404923)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 呼吸困難 / がん / 尺度 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、がん患者の呼吸困難を症状とその身体的苦痛による多側面への影響を含めた包括的な視点で捉え、アセスメントするための評価尺度を開発することである。平成26年度は、研究の第一段階である質問票の構成基盤となる質問項目の検討を行うために先行研究や関連文献の精読および検討と、主要概念に関する概念分析および概念枠組みの検討を主に実施した。 1.先行研究と関連文献の精読および検討 検索ツールとして医中誌Web(Ver.4)およびCINAHLを用いて最大検索範囲におけるがん患者の呼吸困難に関する国内外の先行研究を検索した。入手した文献内容を概観した結果、呼吸困難を訴えるがん終末期患者に対する看護介入時の看護師の困難など看護師に焦点が当てられた研究が数件あり、患者に焦点が当てられた研究は稀少だった。また、呼吸困難のあるがん患者の経験を内容分析したものや呼吸困難によるQOLへの影響などについて考察しているものがあった。その他、呼吸困難の緩和に向けた薬物療法の効果検証や呼吸困難マネジメントプログラムの導入の効果検証、エクササイズによる介入の効果検証が散見されたが、対象者をがん患者に限定しておらずCOPD・心疾患患者とした検証であり、呼吸困難を抱えるがん患者への適応に向けては課題が残った。 2.主要概念に関する概念分析および概念枠組みの検討 主要概念に関する概念分析を行った結果、属性として9カテゴリ-、先行要件として5カテゴリ-、帰結として3カテゴリ-が明らかとなった。それらにより主要概念が説明され、さらに概念枠組みの基盤となる見解を得た。 また、先行研究「呼吸困難を抱える治療期進行肺がん患者の体験」の結果として示された内容にさらに追加すべき項目内容に関する視点と示唆を得た。このため、以上の結果を踏まえ、平成27年度は尺度の具体的な質問項目案の作成に入る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概念分析の途中段階で、対象概念の設定と分析方法について再検討が必要となったため、文献の再検索と精読を経て再分析を行う過程で計画以上の時間を要した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の研究計画を見直し、タイムスケジュールを再検討する。概念分析の結果については、平成27年度中にまとめ、学会発表と投稿による公表に向けた準備を進める。また、概念分析の結果と先行研究の結果をもとに検討された内容を基盤として、尺度の質問項目案を作成し、プレテストを実施し、内容妥当性の検討を行うことを平成27年度の目標とする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初計画では、尺度の質問項目案が完成し、プレテストおよび専門家によるスーパーバイズおよび一致率の算出等による内容妥当性の検討を実施する予定であったが、その前段階である主要概念の概念分析および概念枠組みの検討のにおいて計画以上の時間を要した。このため、プレテスト対象者への謝礼や内容妥当性の検討の際のスーパーバイズに対する専門家への謝金等に関わる費用の支出が生じなかったためである。
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次年度使用額の使用計画 |
平成27年度については、概念分析の結果を公表する予定であるため、学会発表や投稿に関する旅費等の捻出が生じる予定である。また、尺度の質問項目の原案作成が本年度における主たる研究目的となるため、プレテスト実施時の謝礼や内容妥当性の検討を目的としたスーパーバイズに対する専門家への謝金等が支出される予定であるため、適正な運用を行う。
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