本研究の目的は、内視鏡治療を受けるがん患者に対する遠隔看護(以下、テレナーシング)の導入と実用化を目指し、在宅療養支援に向けたテレナーシングシ ステムを考案することである。平成27年度には、がん看護分野、内視鏡看護分野、外来看護分野の管理者から内視鏡治療をうけ在宅療養する がん患者を対象としたテレナーシングシステムを施設に導入できる可能性とその問題点を明らかにするため、2施設の看護管理者および看護管理者経験者にインタビュー調査を行った。その結果、テレナーシング導入に関する可能性について、[内視鏡治療に限らず在宅療養支援として電話相談は増加すると思う] [内視鏡看護の充実は必要である][安心して在宅療養するためにいつでも相談できる体制は必要である][毎日同じ看護師が担当できるとしたらあってもよい] [毎日同じレベルの力量を持った看護師がいると良い][電話相談は患者が受診しなくてよいメリットがある]と導入への期待や展望が明らかになる一方で、[高齢者が利用しやすいデバイス][テレナーシングを受ける側の情報リテラシー][電話相談に診療報酬がつかない][テレナーシングに関わる人材確保][電話相談できる技術を持つ人材の確保][電話相談方法を学習する機会がないので、電話相談技術に差がある][今の状況で外来にメール相談を立ち上げることは難しい]など導入の難しさも明らかにされた。以上の結果より、在宅療養を支援するための相談体制の導入・整備は必要と考えられる一方、外来看護の現状から鑑みると、テレナーシングを導入するためには、外来における人員不足の解消や、看護師の質・相談技術の向上、外来看護師教育の充実が早急に求められていることが示唆された。
|