本研究は造血幹細胞移植後患者のライフコントロールはどのようなものか探究することを目的にしている。平成24年に研究施設に依頼を行い、倫理審査の承認を受けた。同時に依頼した医療機関でフィールドワークを行った。移植後おおよそ1年経過した外来通院を行う造血幹後患者を対象として研究参加を依頼した。18名の患者が研究を承諾し1回30-60分のインタビューを40回程度行い、音声データを逐語録におこした。平成25年より現象学的方法であるジオロジーの方法で分析を行った。質的研究の専門家(研究協力者)に適宜意見を求め、分析結果の信憑性の確保に努め分析を進めた。分析の結果、21のテーマ、6の中テーマ、4つの大テーマが抽出された。大テーマである【これからの生活に目安をつける】は患者が弱った身体を実感することから、重症感染症による状態悪化への強い危機感を持ち、医師の指示を固く守り生存しようとする。それと同時に情報を集め、具体的な生活の仕方を理解し、先を見越して慎重に生活することであった。【他者との隔たりのなかで生活する】は、他者との間に隔たりを感じながらも、わだかまりを我慢し、自分なりに他者と共に生活することであった。【生活していくために気持ちの均衡を保つ】は、患者が厳しい予後を生きる状況で、気持ちのバランスをとるために強い信念を持ち、これからの経過を考え込まず楽しみ、生活することであった。【病気になる前の自分でいようとする】は患者が病気をする前の自分とのギャップに困惑する状況で、他者に病人として見られることを避け、失った機能を取り戻し、本来の自分でいようとすることであった。 研究結果の1部を、平成26年2月、17th EAFONSで発表した。平成26年度より研究結果の1部を再度分析しまとめた。平成27年11月に結果の一部をAONS Conference2015で表する予定である。
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