心筋梗塞患者および心筋梗塞患者に看護を実践する看護師を対象として、心筋梗塞発症後の患者が併発したうつの状態を看護師が判断することを可能とするアセスメントツールの開発を試みた。心筋梗塞後のうつは、生存率を低下させることが先行研究によって明かであり、患者のQOLにも影響を与える要因である。既存のうつを評価する尺度は、患者本人が評価しなければならない。循環器疾患で入院した患者に精神科受診を勧めること本人や家族の承諾が得られず、困難となることもある。本研究の結果により開発されるアセスメントツールは、看護師による評価であり、看護師の日々のアセスメントを活用して行うことができ、患者の負担がない。さらに、客観的数値を示すことが可能となる。 昨年度に引き続き、本年度も調査を実施した。対象患者に対して、研究協力依頼を行い、同意が得られた患者に対して、看護師によるアセスメントツールの実施と研究者と精神科医によるうつ評価面接、採血による炎症マーカーおよび酸化ストレスマーカーのデータ収集、患者自身による既存のうつ尺度への回答の実施を行った。また、併せて患者のデモグラフィックデータの収集を行った。 最終的に同意が得られた患者は、59名であり、平均年齢61.95歳±10.82、男性49名、女性10名であった。発症から14日後の調査までに退院および研究を辞退した対象者は9名であった。同意が得られた看護師は、40名であり、そのうち男性は2名であった。平均年齢は30.0±6.5歳、看護師経験年数の平均は8.6±6.8年、循環器領域における経験年数の平均は6.0±5.0年であった。精神科経験年数のあるものは2名であり、14ヶ月~18ヶ月であった。 現在、データ入力・分析を進めている。
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