本研究では、インターフェロンβ製剤で治療中の多発性硬化症患者の治療にまつわる経験を明らかにし、その結果をもとに治療継続を目指した看護援助指針の作成を目的とした。注射製剤であるインターフェロンβ1a製剤、インターフェロンβ1b製剤で治療中の多発性硬化症患者へインタビュー調査を実施した。また、比較検討を目的とし、内服薬であるフィンゴリモド塩酸塩で治療中の患者へも併せてインタビュー調査を実施した。その結果、多発性硬化症の症状や治療薬の副作用症状に対する困難感は、患者が治療中断や中止を検討する一因となっていることが明らかとなった。また、家族役割や社会的役割の変化を余儀なくされることからも治療継続が困難となることが示された。看護師による外来受診時の定期的な関わり、困難が生じた場合の窓口の設置、新薬への情報提供と治療選択に関する支援の必要性が示唆された。
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