造血幹細胞移植を受ける成人患者に、前年度に作成したがんリハビリテーションプログラムを実施し、リハビリテーション実施率、筋力、活動量、倦怠感を測定し、またリハビリテーションの受け止めをインタビューにて調査し、データ分析を行った。 その結果、研究期間中、参加の同意を得られた患者29名中、退院まで測定できた23名(男性12名、女性11名)の平均年齢は42.9±11.0歳、疾患はNHL 9名、AML 6名、ALL/APL/MM各2名、HL/MDS 各1名、移植形態は、同種移植14名、同系移植1名、自家移植8名であった。同種・同系移植のCR在室日数は平均71.0±20.1日、退院日数は移植後平均67.6±19.4日、運動実施率は平均29.5%(範囲0-94%)、最終筋力の割合は108%であった。自家移植のCR在室日数は平均31.9±6.0日、退院日数は移植後平均26.8±9.6日、運動実施率は平均49.9%(範囲0-84%)、最終筋力の割合は109%であった。運動実施率に幅があるため、運動実施率を中央値で高群と低群に分け比較した所、最終筋力の割合は運動実施率高群125%、低群91%で有意差(p=0.048)が認められ、運動実施率が高いと最終筋力の割合が高いことが示された。また、通常ケア群と週に1回運動状況を確認する関わりあり群に分けて運動実施率を比較した所、通常ケア群24%、関わりあり群56%で、有意差(p=0.011)が認められた。 従来、筋力の維持は,患者に任されていたが、今回,具体的な運動プログラムを提示し、実施を促すように介入した結果、運動実施率の高さが,筋力低下の予防に大きく貢献していることが示唆された。今後は、運動プログラムの運動実施率を向上させるための方策を検討していく必要がある。 上記結果を第37回日本造血細胞移植学会総会にて発表した(2015年3月6日)。
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