研究課題/領域番号 |
24792480
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井上 由紀子 東北大学, 大学病院, 助手 (20596100)
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キーワード | 発達障害 / 子ども / 意思尊重 / 家族 |
研究概要 |
1.前年度に引き続き,発達障害の場合と比較を行うため,血液疾患や心疾等の発達障害の子供と養育者各8名を追加で調査を行い,データの分析を行った。 2.研究成果を踏まえて,ガイドラインの要素の抽出とガイドラインの考案を行っている。 【成果】療養生活で自分の意思を尊重してもらえた」と認識していた子供は3名のみで,<療養行動の理解が不十分だが医師の指示に従う>,<医師に自分の意思を伝えることをあきらめて指示に従う>,<疾患を受け入れられないまま医師の指示に従う>の3サブカテゴリからなる『自分の分の意思とは関係なく医師の指示に従う』現状と,<親に自分の考えを伝えられない>,<医師に自分の考えや疑問を伝えられない>の2サブカテゴリから構成される『他者に自分の意思を伝えられない』現状が明らかとなった。 また,<医療者に相談していいのか判断できない>,<子供の相談者と認識されていない>の2サブカテゴリから構成される『相談者としての医療者の役割が認識されていない』状況が示された。 子供の多くは医療の場では患者は医師の指示に従うものと考えており,医師や親などの他者に自分の意思を伝える重要性を認識している子供が少ないことが明らかとなった。このことは,現在の小児医療が子供の主体性が尊重されていないことのあらわれと考えることもできる。子供が主体的に医療に参加することで,親からの疾病管理の移行や,進学,就労時の課題解決,成人期への移行がスムーズになると考えられる。今後子供には自分の意思を療養生活の場面で医師を始めとする他者に伝える重要性を教育していく必要がある。さらに,看護師には供が自分の意思を表明できるよう,調整したり環境を整えることの必要性を啓蒙していく必要があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在,発達障害を持ちながら小児がんや糖尿病などの慢性疾患などの療養を行っている子供の存在も注目さており,その子供たちについての支援のあり方等を追加し検証している。この点を含めて現在,ガイドラインの要素の抽出とガイドラインの考案を小児看護CNSの協力を得てガイドラインの要素の抽出と考案を行う予定であるため,全体的な研究計画はおおむね順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年は情報収集,ガイドラインの考案を行う。 1.研究協力者による会議を実施し,前年度に得られた結果を踏まえ新たな視点を含めたガイドラインの枠組みを再検討する。2.ガイドラインの基本的な要素を再検討した後に,ガイドライン(案)を作成する。3.ガイドライン(案)を臨床の看護師と医師に提示し,専門的な立場からの意見やアドバイスを求める。4.臨床看護師に意思決定支援についての教育を行う。5.ガイドラインの使用についての教育を行い臨床現場で使用してもらう。
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次年度の研究費の使用計画 |
今年度の計画効率的に推進したことに伴い未使用額が発生した。 平成26年度請求額とあわせて平成26年度の研究遂行に使用する予定である。
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