本研究の目的は、行動変容の動機づけに有効な宗像のシーソーモデルを活用し、「動機づけを強化し、負担を軽減することで育児行動は促進される」という概念枠組みを基にした父親学級プログラムを開発することである。平成26・27年度の研究実施計画は、無作為臨床試験を行い、父親学級プログラムの有効性を検証することを目的として研究を実施することであった。前年度までに、パイロットスタディを実施し、その結果からサンプルサイズ数を当初研究実施計画書の予定数から変更した。また、介入時期を産後母子の入院中に決定した。これらを踏まえたプロトコールを作成し、平成26年度は、研究者が作成したプログラムを実施する介入研究をおこなった。 平成27年度は開発したプログラムの介入効果を分析した。その結果、本研究で開発した父親学級プログラムに参加することで、父親の家事時間は有意に増加することが明らかとなった。育児時間は介入による有意な変化はなかった。また、父親の家事役割の受容と育児能力の自信は介入群で有意に上昇した。 以上のことから、本研究で開発した父親が育児や家事をする意義の解説と父親のニーズを取り入れた育児知識の提供、育児技術の演習を組み合わせた指導プログラムを、子どもの出生後に実施することは、父親の育児・家事行動を促進させることに有用であることが示唆された。本研究の結果は英文雑誌に論文投稿し、採択された。
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