研究課題/領域番号 |
24792487
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
小澤 治美 千葉大学, 看護学研究科, 助教 (40334180)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 双子 / 母親 / 障がい |
研究概要 |
本研究は、【研究I】双子のひとりが障がいを有する母親の双子の親になる体験を記述する研究、【研究II】双子のひとりが障がいを有する母親の双子の親になる体験を表す概念モデルの創出、の2つから構成される。 平成24年度は、【研究I】の目的に即し、文献検討及び専門家からの意見聴取より、研究計画を洗練するとともに、研究対象者の募集のためのフィールドを開拓した。 文献検討では、医学中央雑誌Web版(1985~2013)で検索し、障がいを有する双子の親に関する研究や障がい児の養育に関する研究について検討した。特に、双子のひとりが障がいを有している母親では、きょうだいに対して障がい児の世話を期待する気持ちときょうだいに気遣ねする気持ちの間で葛藤を抱いている単胎児の母親とは違い、障がいを有する子と健常児である子に公平な世話ができないことに葛藤を抱いていることが明らかとなった。また、双子のひとりが障がいを有している母親は、「障がいへのなじみのなさからくる戸惑い」を感じながらも、「障がいがあっても命は大切」と前向きに思えるようになり、双子の世話をしながら「双子の比較で障がいを直視する」ことによって少しずつ障がいを受け入れていることが明らかとなった。しかし、これは子が思春期までの時期にある母親に対して明らかにされたものであり、国内では、子が乳幼児期にある母親の体験を詳細に描いた研究はなされていないことを確かめた。 上記文献検討に加え、障がい児とその家族に対する豊富な臨床経験を有する専門家からの意見聴取を通して、双子のひとりが障がいを有する母親が、双子の子育てを通してどのような思いを抱き、それらにどのように折り合いを付けながら、またどのような強みを発揮しながら親になっていくのかについて、ありのままの体験を詳細に描くためのインタビューガイドの洗練や研究方法の検討及び研究対象者の獲得に努めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の研究対象者は、乳幼児期に有る双子を養育している初産婦であり、母親は分娩後に既往疾患の悪化や周産期後遺症の長期的影響がなく正常に経過しており、双子は一方は健常児であり、一方の児において、疾病、障がい、成長発達の遅れ等を有するものである。 そのため、多胎分娩件数が多い施設やNICU・GCUを併設している施設や、双子の親の会や障がい児の親の会等にて研究協力依頼の調整を行っているが、施設からの研究協力が得られにくかったり、施設からの協力が得られても、研究対象基準を満たす研究対象者候補者がほとんどおらず、また研究対象候補者がいても、承諾が得られにくい状況である。 したがって、研究対象候補者をさらに広く募集するための研究協力施設の拡大に努めている。具体的には、研究協力依頼を行う地域を拡大し、広く関東内外のNICU・GCUまたは新生児科を有し、分娩件数が年間1000件以上である施設、リハビリテーション施設、重症心身障害児施設に研究協力を依頼するとともに、全国の双子の親の会や障がい児の親の会の代表者に研究協力依頼を行うこととしている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は、【研究I:双子のひとりが障がいを有する母親の双子の親になる体験を記述する研究】、【研究II:双子のひとりが障がいを有する母親の双子の親になる体験を表す概念モデルの創出】で構成される。 平成25年度は、【研究I】のデータ収集・データ分析を行う。【研究I】の目的は、双子のひとりが障がいを有する母親の双子の親になる体験を明らかにすることであり、研究デザインは、質的因子探索研究である。研究対象者は、①乳幼児期に有る双子を養育している初産婦、②母親は分娩後に既往疾患の悪化や周産期後遺症の長期的影響がなく正常に経過している、③双子は一方は健常児であり、一方の児において、疾病、障がい、成長発達の遅れ等を有する、④日本語でのコミュニケーションが可能なものとし、約10名の研究対象者の獲得を目指すこととする。そのため、研究対象候補者を広く募集するため、研究協力依頼を行う地域を拡大し、関東内外でのNICU・GCUまたは新生児科を有し分娩件数が年間1000件以上である施設、リハビリテーション施設、重症心身障害児施設にも研究依頼を行うとともに、全国の双子の親の会や障がい児の親の会の代表者に研究協力依頼を行う。 データ収集内容は「双子のひとりが障がいを有する母親の双子の親になる体験」であり、インタビューガイドに基づいた半構成的面接法にて収集する。本調査の前に、インタビューガイドの洗練のためプレテストを行う。プレテストは、可能な限り研究対象基準を満たしている母親を対象とするが、研究の推進状況をふまえ、双子の一方が障がいを有していることは必須条件とし、その他の条件は限定しないこととする。 分析方法は、質的帰納的分析であり、経時的に「双子のひとりが障がいを有する母親の双子の親になる体験」を記述する。全対象者の個別分析結果を基に、共通性、異質性を検討し、特徴を導き出す。
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次年度の研究費の使用計画 |
「次年度使用額」が発生した状況は、研究対象者を獲得することが困難であり、データ収集が予定通り進みにくかったことである。 したがって、「次年度使用額」及び「平成25年度請求額」は、研究対象候補者をさらに広く募集するための研究依頼やデータ収集のための調査旅費に使用する予定である。具体的には、関東近郊および関東以外の分娩施設やリハビリテーション施設、重症心身障害児施設計5施設への研究依頼と、全国の約10~20の双子の親の会代表者への研究依頼旅費と、遠方へのデータ収集のための旅費を予定している。 また、データ収集後の速やかな逐語録作成のためのメディア媒体と信頼度の高い業者へのテープ起こし委託金(インタビュー約20回分)、テープ起こしを一部委託する研究補助者への謝金(インタビュー約10回分)、研究に関連した新たな知見を得るための文献や資料代、第15回日本母性看護学会、第54回日本母性衛生学会等の学会参加費や旅費、専門家との打ち合わせ旅費や謝金等に使用する予定である。
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