研究課題/領域番号 |
24792488
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐藤 伊織 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20622252)
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キーワード | 家族看護学 / 小児看護学 / がん看護学 / きょうだい / 小児がん / 説明 / 情報提供 / 情報共有 |
研究概要 |
集学的治療を必要とする小児がん等の疾患を持つ子どものきょうだいは、環境と家族の変化により大きな心理社会的影響を受ける。家族に対する支援の一つとして、看護師は、親がきょうだいへ病気の説明を行なうことを支援する必要がある。そこで本研究は、平成24年度から平成26年度にかけて、きょうだいへの情報提供と情報共有により良好な適応を促す介入理論に基づく支援プログラムを開発することを目的としている。平成25年度には、介入に必要な理論および尺度の開発を実施した。 平成24年度に整理した、小児がんを持つ子どものきょうだいに対して行われている情報共有の内容とその効果、現在行われている効果的な説明の内容については、論文投稿を予定しており、平成25年度中にはその準備を進めた。残念ながらまだ投稿に至っておらず、平成26年度中に投稿・公表する。同じく平成24年度中に開発した、「子どもの生活の質に関する質問票(PedsQL)」の25歳までの拡張については、平成25年度中に、その結果をQuality of Life Research誌に投稿し、公表した。 また、平成25年度中には、病気を持つ子ども本人への説明状況との関連要因および帰結について分析した。年齢、知的能力、治療施設、治療状況、保護者の精神状態が、本人への説明状況に関連すると考えられる。また、本人へ病気のことを詳しく説明することが、子どもを不安にさせることはなく、むしろ、心理社会的により良好なアウトカムへと結びついている可能性が高いと考えられる。詳細な結果については、平成26年度中に、国際誌へ投稿・公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画と異なった点としては、平成26年度に研究のアウトカムとして必要な、健康関連QOL尺度2種類の開発を行なっている点である。疾患を持つ本人が子どもであっても、そのきょうだいも子どもであるとは限らないことから、2歳から18歳まで使用可能であった「子どもの生活の質に関する質問票(PedsQL)」を、25歳まで使用可能となるよう拡張した(平成25年度)。また、1-24ヶ月児にも使用可能とする(平成26年度)。 平成24年度に実施予定だったが、日程の都合により行えなかった、海外での実践状況の情報収集について、平成25年度に実施した。 こういった計画の追加や変更はあったものの、おおむね予定通りに経過していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き当初の予定通り研究を遂行する。 ただし、平成26年度に実施予定であった介入研究については、アウトカム指標である健康関連QOL尺度ができるまで開始できないため、症例集積見込みと目標症例数を再検討した上で実施する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画と異なった点として、平成26年度に研究のアウトカムとして必要な、健康関連QOL尺度2種類の開発を行なっているため。 当初の予定通り、平成24・25年度の成果発表に必要な費用(国内旅費、国外旅費、論文投稿料、英文校正費)、平成26年度計画遂行のための消耗品(文具)、国内旅費・交通費、人件費、文献複写費、質問紙印刷費を使用する予定である。 加えて、当初予定の遂行に必要な、尺度の開発費用(文献複写費、国内交通費、尺度利用料、質問紙印刷費、通信費、論文投稿料)を使用する予定である。
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