研究課題/領域番号 |
24792489
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西方 真弓 新潟大学, 医歯学系, 助教 (90405051)
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キーワード | ハイリスク妊婦 / 入院生活の質 / MFICU / ケアプログラム |
研究概要 |
研究目的は,母体・胎児集中治療室(MFICU)に入院となったハイリスク妊婦の入院生活において安全性と快適性,入院生活の質に影響をおよぼす諸要因を当事者の視点から明らかにするとともに,MFICUに入院を必要とする妊婦のための包括的なケアプログラムを開発することである。25年度は,MFICUに入院となった妊婦に自分の生活の質(QOL)を決定づけている生活領域を明確化し,それらの領域の相対的な重みおよびその満足度を自ら評価していく「生活の質の重要項目を直接的に重み付けする個人の生活の質評価法(SEIQoL-DW)」を用いて12名に面接調査を行った。面接データは質的帰納的分析を,MFICUに入院した妊婦のQOL評価の分析にあたっては,SEIQoL-DW日本語版の翻訳にあたった専門家から助言をもらい分析中である。 中間結果から,MFICUに入院した妊婦が挙げたQOLに影響する項目としては,【家族】【気分転換】【いつでも相談・確認できる環境】【日常生活のベース】【妊産婦や赤ちゃん】に分類された。当事者視点によるQOL評価を用いたことにより,妊婦個々の状況,入院生活において重要としている事柄,望んでいる事柄の把握につながった。また,SEIQoL-DWを用いて,入院生活を客観化・相対化することで,対象者が入院となった今回の妊娠を意味付ける機会になったのではないかと考えられる。 面接の語りから得られたデータを質的に分析した結果,MFICUの入院生活の状況について【赤ちゃんを最優先に受け入れた入院生活】【同室妊婦に対する気遣い】【連絡を取れない不自由さ】などが浮き彫りとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当事者視点による生活の質の評価を行いながらMFICUの入院生活の質に影響をおよぼす諸要因についてデータが得られている。引き続きMFICUに入院した妊婦への調査・分析をすすめていく。
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今後の研究の推進方策 |
26年度は,引き続き当事者視点による生活の質の評価を行いながらMFICUの入院生活の質に影響をおよぼす諸要因をより明らかにするために対象者数を増やし調査・分析を行っていく。分析については,信憑性と信用性を得るために専門家から助言をもらえるよう調整をする。 25年度の結果を基にケアプログラム開発に向け助産師に実施するフォーカスグループインタビューを検討している。また,研究で得られた結果を関連学会で発表を行っていく予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
フォーカスグループインタビューのデータ収集のための機材を25年度は購入せず,26年度購入することとしたため。25年度に調査・分析した結果の質を高めてから,ケアプログラム開発に向けた助産師へのインタビューを推進することにしたため。 26年度に実施するフォーカスグループインタビューのデータ収集のための機材(音声・映像機器、データ分析用パソコン)の購入を予定している。25年度に引き続きMFICUに入院した妊婦と、26年度に実施する助産師へのインタビューへの協力に対し謝品をお渡しし、得られたインタビューデータは、業者に委託しテープお越しを行う(人件費)。 また、分析の信憑性・信用性を確保するための専門家によりスーパーバイズに対する謝金と打ち合わせ旅費、研究成果の報告や情報取集のための旅費などを予定している。
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