研究実績の概要 |
学童期中学年~高学年の自閉症スペクトラム障害(ASD)と診断された子どもとその両親も合わせた家族に対して、FamilyProblem Solving(FPST)を実施し、FPST前後において、児に対する「対人的自己効力感尺度(松尾・新井,1998)」、「ストレスコーピング尺度Stress Coping Scales:SC-S (島田・ 三浦, 1998) 」、また両親に対する「家族の自信度アンケート」「子どもの行動チェックリスト(Child Behavior Checklist; CBCL)」「Social Responsiveness Scale:SRS」を指標にその有用性を検討する。 [対象と方法]大阪大学医学部附属病院小児科通院中であり、VIQ70以上のASD児とその両親5組を対象とした。FPSTは、2-4名の少人数グループで、家庭や学校で起こりうる問題解決場面における問題解決スキルに関する指導を中心とし、計3回(1~2週間に1回、1回90分)で実施。 [結果]前年度までの7組に加え今回5組のデータも合わせて解析した。 児の結果として、SC-S (島田・ 三浦, 1998) の全3因子(積極的対処、あきらめ、思考回避)において改善がみられた。両親に関しては、家族の自信度アンケートにおいて、両親ともに改善がみられ、特に、父親では、有意な改善がみられた(t(8)=-2.93, p<.05)。子どもの行動チェックリスト(Child Behavior Checklist; CBCL)においては、思考の問題で、有意な改善がみられた(t(11)=2.33, p<.05)。Social Responsiveness Scale (SRS)に関しては、母親の評価において改善がみられた。[考察]今回の結果より、ASD児とその両親に対して、FPSTの有用性の可能性が示唆された。
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