研究課題/領域番号 |
24792498
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西元 康世 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (60458015)
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キーワード | 家族看護 / 境界性パーソナリティ障害 / 家族支援 / 文献検討 |
研究概要 |
平成24年度実施の境界性パーソナリティ障害(BPD)患者がいる家族の家族機能と家族支援に関する国内文献検討(平成25年度にThe 3rd World Academy of Nursing Scienceにて発表)の結果,わが国のBPD患者がいる家族に関する家族機能や家族支援の研究においては,筆頭著者は医師が多く,研究方法としては,診療録をもとにした事例検討が大多数であった.研究対象にも家族自身へのインタビューや質問紙調査はなく,研究方法としてはBPD患者がいる家族の家族機能の量的な研究はみられなかった.家族支援の必要性については触れられているものは多いが,その実態を明らかにする研究はみられなかった.国内文献のみでは,看護職者としてできる家族支援への系統的な示唆を得るのは難しく,国外でのBPD患者がいる家族に対する家族支援についての研究知見から,家族支援のありようをを明らかにするために国外文献検討をおこなった.PUBMEDとCINAHLを使用し,BPDと家族支援に類する単語の論理積により,37本の文献を得た.マトリックスメソッドを用いて分析した結果,国外研究においても,日本国内と同様に医師による研究が半数を占め,看護師による研究は少ないものの,その割合は日本国内よりは少ないことが明らかになった.国外では,臨床心理士による研究が多くを占め,弁証法的行動療法(DBT)や家族心理教育などを実施し,成果がおさめられていた.国外においても,看護職者が実施するBPD患者がいる家族に対する家族支援は確立されているとは言い難いが,具体的な家族支援の成功例はみられているため,それらを基盤に日本の現状も反映した家族支援モデルを検討することは可能であろう.さらにインタビューや質問紙による調査をすすめる必要性がある.本研究成果は平成26年5月に第35回国際ヒューマンケアリング学会にて発表予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
前年度,体調不良により遅れてながら進めていたところ,今までの遅れを取り戻すまでの進捗には至らなかった.しかし,インタビューガイドの作成などは進み,インタビューを開始できる状況ではあるため,続いて質問紙調査の準備を同時に行いながら速やかに進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
当初予定していた平成25年度のアメリカでの国際学会の発表には,体調不良も重なり参加できなかったが,同年度内の10月にある国際学会において発表を行った.インタビュー,質問紙調査を同意が得られた家族や医療職者に実施し,成果を早急に公表できるように準備を進める.
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度11月より平成25年度4月まで,体調不良のため,研究を中断する必要があった. それにより,スピードを上げて研究活動を進めているが,平成25年度に実施するはずであったインタビュー調査と質問紙調査の実施が平成26年度にずれ込んでいるため.また,当初予定していた研究成果発表の開催地より,近くで開催される学会での発表を行ったため,旅費に残額が生じていることも理由である. 平成25年度に実施予定であったインタビュー調査と質問紙調査の準備は整いつつあり,26年度には実施できる予定である.調査実施に伴い,残額は使用予定である.旅費については,研究成果発表の機会を増やし,当初の予定通り使用することを考えている.
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