研究課題/領域番号 |
24792498
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
西元 康世 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (60458015)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 家族看護学 / 家族支援 / 家族機能 / 境界性パーソナリティ障害 / BPD / 家族同心球環境理論 / 家族環境支援モデル / SFE |
研究実績の概要 |
平成24年度に,BPD患者がいる家族に関する国内文献検討を実施した.保健医療分野でなされている家族支援において,医師による研究が多くあったが,他職種の実施する家族支援については,あまり明らかにされていなかった.平成26年度には,看護学分野で実施されている家族支援を詳細に検討するため,再度文献を収集し,既存の文献からBPD患者がいる家族の家族症候をラベリングし,BPD患者がいる家族の抱える困難の特徴を明らかにした.さらに,文献に記載された家族支援を,家族同心球環境理論に立脚した家族環境支援モデルを用いて分類した.本結果は,平成26年度に開催された18th East Asian Forum of Nursing Scholar (台湾,台北)にて成果発表を行った.BPD患者がいる家族1家族を対象としたインタビュー調査,質問紙調査,BPD患者がいる家族への家族支援を実施したことがある看護師16名に対してのインタビュー調査を行った.家族へのインタビューは家族支援について,約2時間の半構成的面接を実施した.また,同時に家族環境評価尺度(SFE-J)への回答も得た.BPD患者がいる家族は,多くの項目において家族機能におけるニーズ得点が高く,家族支援の必要性が示唆された.なかでも,家族内部環境においてのニーズが高かった.インタビューにおいては,BPD患者との関係性の中で,多大な負担をもちながら,対応が困難となっていることに対して,医療的なサポートも得がたい現状が語られた.家族への調査結果は事例検討として,平成27年度に開催される第12回国際家族看護学会(デンマーク,オーデンセ)で成果発表の予定である.看護師へのインタビューは,BPD患者がいる家族の困り事と実施している家族支援について,約60分の半構成的面接を行った.データの分析には,修正版グラウンデッドセオリーアプローチを用い,現在,概念生成,概念精選を進めている.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成24年度からの遅れを少しずつは取り戻しているものの,まだ若干の遅れがある.また,本研究は,BPD患者がいる家族に対する家族支援を明らかにしようとするものであり,研究対象は,家族と看護職としている.そのうち,家族においては,困難な状況におかれている場合がほとんどであり,研究協力を得ることが大変難しい.現時点では,予定通りの対象家族数を得られていないため,やや遅れているとした.しかし,研究協施設とは継続的にコンタクトをとり,対象者のリクルートを実施している.さらなる対象者を得るため,本研究補助事業を延長し,実施予定である.平成27年度は対象であるBPD患者がいる家族へのインタビューと質問紙調査を重点的に進め,成果としてまとめる予定である.
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今後の研究の推進方策 |
研究自体の遅れに伴い,研究費を繰り越し,本研究補助事業の期間延長をすることとなった.次年度は,平成25年度に参加できなかった国際学会が平成27年度に開催されるため,渡航費と学会参加費,研究成果をまとめる際の英文校正などに使用する予定としている.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究対象を得ることが難しく,データ収集に時間がかかることで研究全体に遅れがみられ,成果発表の時期が遅れてしまっているため,次年度使用額が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
本研究補助事業交付当初に参加予定であったが,参加を断念した国際学会が次年度開催されるため,国際学会の参加費,海外渡航費として使用する.また,国際学会での演題は採択されており,ポスター発表するため,ポスター制作費,英文校正費などにも使用する予定である.
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