本年度は、前年度に引き続き、生体肝移植を受けた子どもと家族への看護援助の視点を明確にすることを目的とした。 前年度は、生体肝移植後の子どもと親のQOLの特徴として、4つのパターン(生体肝移植後の子どもと親のQOLの特徴)が抽出された。また、生体肝移植後の子どもと家族のQOL維持・向上のためのモニタリング指標、および生体肝移植後の子どもと親のQOL維持・向上の概念枠組みを作成した。以上の知見を統合し、看護援助の視点を明確化するために、今年度は不足分のデータ収集を行った。結果、生体肝移植後の子どもと親のQOL維持・向上のための看護援助としては、子どもに対して、親に対して、親子双方に対して援助の視点を抽出した。子どもに対する看護援助は、【子どもの移植の体験を受け止め理解を促す援助】【子ども自身の移植後の身体状況理解への援助】【移植後の免疫抑制剤内服を中心とした疾患管理継続への援助】【移植後の療養生活の調整への援助】である。親に対する看護援助は、【子どもの肝機能維持のためのセルフケアを促進する援助】【親自身の健康維持への援助】である。親子双方に対しては、【移植後の疾患管理における親と子の関係性への援助】である。 さらに、看護援助の視点を元に、前年度の結果で得られたパターンごとの看護援助指針を導いた。看護援助指針では、生体肝移植後の子どもの療養生活およびQOLによるパターン判別表と看護援助内容、評価について視点をまとめた。 以上の結果より、生体肝移植を受けた子どもと家族のQOLを高める看護援助について成果報告予定である。
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