研究課題/領域番号 |
24792502
|
研究種目 |
若手研究(B)
|
研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
須永 康代 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 助教 (00444935)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 妊婦 / 身体部分係数 / バイオメカニクス / 転倒 |
研究概要 |
24年度は,起立から歩行開始までの動作の解析を行う際に必要となる,身体部分の質量や質量中心などの身体部分係数の計測と算出,および起立から歩行開始までの動作の計測を行った.対象者は妊婦8名および未経産女性7名であった.また,妊娠中の転倒に関するアンケートについて,45名の回答を得た. 妊婦身体部分係数については,妊娠中に最も形態変化が著名な下部体幹部分について,質量,体重に対する質量の比,質量中心位置の下部体幹部分長に対する比,質量中心において下部体幹部分を回転させたときの回転半径の部分長に対する比などを算出した.妊娠24週以降では下部体幹部分の質量・質量比は未経産女性よりも有意に大きく,胎児の成長に伴う変化を捉えていた.回転半径比は,妊娠16-18週と24-25週では,y軸回りに回転すると定義したときの値が未経産女性よりも有意に小さかったが,下部体幹部分長の違いによる影響が考えられる. 今年度得られた成果より,個人間の体格差や妊娠の有無・妊娠時期の違いによる身体部分係数の影響について明らかとなった.また,これまでに報告のない日本人妊婦の身体部分係数について算出できた。妊婦に特化した値を動作解析に適用することで,より信頼性と妥当性の高い結果を得ることができると考える. 今後の計画としては対象者を増やしてさらに調査を行い,得られた身体部分係数の値を適用して妊娠中の動作様式の変化について解析し,転倒の実態を明らかにして相互の関連性について検討を行う予定である.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
妊婦を対象とした転倒に関するアンケート調査および身体部分係数の算出と起立から歩行開始までの動作の計測は,当初予定よりも募集可能な対象者が少なかったが,おおむね順調に実施できた.また,25年度に予定していた未経産女性を対象とした動作の計測について,当初予定より少ない人数ではあるが対象者を募集できたため実施しており,全体としておおむね順調に進展している.
|
今後の研究の推進方策 |
今後,妊娠中の転倒に関するアンケートについては,さらに協力可能な妊婦を募集して回答数を増やす.身体部分係数の計測と起立から歩行開始までの動作の計測についても,妊婦,未経産女性ともに募集可能な対象者が当初予定よりも少ない状況であるため,今後もパンフレットの配布や掲示などの方法で継続して募集する.また,これまでに調査,計測したデータについては,26年度の最終的な検討に向けて随時解析を進めていく予定である.
|
次年度の研究費の使用計画 |
今年度,身体部分係数の計測には,動作の計測と同様の三次元動作解析装置を使用しているため,新たな機器の購入を行っておらず,計測に使用する消耗品への支出額が少なくなっている.また,対象者数が当初予定よりも少なかったために謝礼の支出が少なくなっている.これらの理由により次年度使用研究費が発生している. 次年度は身体部分係数の計測には,静的姿勢計測専用の三次元スキャナーおよび関連ソフトの購入を検討している.また,計測にかかわる両面テープなどの消耗品や対象者への謝礼としてクオカードの購入などを主に予定している. さらに,これまでの研究成果発表として,The 12th International Congress of Asian Confederation for Physical Therapy (ACPT)in Taichungへの演題が採択されたため,旅費および学会参加費の使用を予定している.加えて,論文投稿のための校正料や印刷料の使用を計画している.
|