本研究では妊婦の転倒の実態解明,起立から歩行開始までの動作様式の変化の解明を目的に,妊娠中の転倒状況調査と,下部体幹の身体部分係数(BSPs)の妊娠期ごとの算出および起立から歩行開始動作の解析への適用を行った. 妊娠中の転倒は躓きを含めると約7割が経験しており,転倒時の状況は先行研究と同様に物や子供を抱えていた時が最も多かった.妊婦のBSPsは未経産女性との有意差が認められ,この値を採用した動作解析結果では,妊娠週数の進行に伴い歩行開始時の前方への推進力が増し,質量中心の挙動に影響を及ぼしており,研究成果から妊娠中の転倒リスク抽出のための基礎データを得,安全な動作法を導くことができた.
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