学士課程卒業時における助産師学生の助産実践能力を、客観的臨床能力試験(OSCE)を用いて評価するため、OSCE運営マニュアルとOSCE課題や評価指標を作成した。複数の教育機関と協働しOSCEを実施し、教員や受験学生の意見を聴取することや、教員の所属機関や教育経験年数の違いによるOSCE評価点に相違が生じないことを確認することによって、OSCE運営マニュアルとOSCE課題や評価指標の妥当性を検証した。 さらに、標準模擬患者(SP)を養成するためのマニュアルとビデオ作成を行った。それらマニュアルとビデオ教材を用いて養成したSPが参画したOSCEを実施し、SPが異なる場合でも統一されたOSCEの実施がなされたことにより、SPの養成が行えたことを確認した。 学士課程卒業時の助産師学生の分娩介助時における助産実践能力を、OSCEにより評価した結果、助産師学生は主に臨地実習での産婦との関わりから、コミニュケーション能力や看護者としての基本的態度の育成は確認できた。一方、分娩介助技術や感染予防行動、医療安全への配慮に関する実践能力については、臨地実習による慣れによる影響もあり、基本に忠実な評価指標ではその能力は充分に評価できない可能性が示唆された。しかし、それらは医療従事者、特に助産師として習得すべき実践能力であるため、分娩介助技術、清潔と不潔の区別、医療事故、予防方法と対策などに関する知識と技術は、常に基本として獲得を徹底する必要がある。さらに、卒業後の新人教育においても強化がなされるように臨床の継続教育にも提言をしていきたい。
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