【目的】妊婦を対象にセルフモニタリングシートを用いた介入研究による、妊娠中のマイナートラブルの軽減、QOL向上に対する有効性の検討が目的である。 【方法】妊娠初期から中期のうち1週間、睡眠及び生活リズムなどを記入するセルフモニタリングシートを記入してもらい、セルフモニタリング前後(妊娠初期と末期)の睡眠習慣やマイナートラブルの苦痛度、精神健康状態の比較検討を行った。 【結果】セルフモニタリング実施前後で、就寝や起床時刻、睡眠時間に変化はみられなかった。しかし、就寝時刻の早い時と遅い時の変動幅は、セルフモニタリング前の60.0分に対し、実施後は48.0分と有意に短くなっていた(p<.01)。起床もモニタリング前の43.4分より、実施後は33.1分と短縮を認め(p<.05)、さらに、睡眠時間の変動もモニタリング後は44.5分と、実施前の55.0分より有意に短かった(p<.05)。一方、セルフモニタリングを行っていない対照群では、睡眠習慣の変化はみられなかった。 マイナートラブルは、モニタリング実施群の便秘、冷えなどの体質起因身体症状の苦痛度は、モニタリング前の29.1点に対し、実施後は25.8点と有意に苦痛度が軽減し(p<.01)、対照群も妊娠初期の苦痛度32.1点より末期は28.5点と得点は低下し、同様の結果であった(p<.05)。その他、妊娠起因の身体、精神症状は両群で変化はみられなかった。 精神健康状態は、セルフモニタリング前のHAD不安得点4.9点に比べ、実施後は3.9点と不安が軽減し(p<.01)、さらにGHQ12合計点も、実施前の11.8点より、実施後は10.6点と有意に精神健康度の改善がみられた(p<.05)。対照群では変化はなかった。 以上より、セルフモニタリングは、変動が少ない規則的な睡眠習慣への変容と精神健康の向上につながることが示唆された。
|