つわりを体験する妊婦がつわりをどう捉え、どう対応しているかという視点で、つわりの実態を質的に明らかにすることを目的とし、同意の得られた妊婦20名を対象にインタビューを実施した。研究協力者は、つわりによる嘔気嘔吐を自覚し、治療中の合併症や切迫流産兆候がない22週未満の妊婦とした。本研究は兵庫県立大学看護学部研究倫理委員会及び研究協力施設の承認を得て実施した。 結果、対象者20名(初産婦6名、経産婦14名)の妊娠週数14.3±3.7週、年齢33.4±3.8歳であった。妊婦には身体上の変化(気持ち悪さ・嘔吐、胃の味覚の鈍化等)、生活行動の支障(食べられない、行動する力が湧かない等)等が見られた。つわりへの対応として妊婦は、身体感覚を用いて認知(意図)的或いは感覚(無意識)的に「状況を見極め気持ち悪さを落ち着かせる・意識させない」、「漢方薬によって気持ち悪さを軽減させる必要性を見極める」などを行い、気持ち悪さや嘔吐など『症状を軽減・予防』する行動を取っていた。加えて、『可能な範囲で食べる』ことができるよう身体感覚を用いて「食べる必要がある状態と気づく」、「食べられるものを見出す」、「食べられる量を見極める」等を行っていた。更に、『可能な範囲で行動する』ことができるよう身体感覚を用いて「つわりに照らしてどこまでの活動ができるかを絞り込む」、「つわりに照らして活動ができるように対応を見出す」等を行っていた。このように身体感覚に沿った対応を選択し実施する上での影響要因としては、妊娠前からの妊婦の価値観、自らの状態の軽視、自らに合った方法の分からなさ、自らの感覚を優先した対応の選択のしにくさ、妻・母・職業人としての役割行動変更への罪悪感等があった。これより、つわりを体験する妊婦が、身体感覚を用い認知・感覚的に自らに合った方法を見出し実施することを支援する看護が望まれていると考える。
|