研究課題/領域番号 |
24792513
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
空田 朋子 山口県立大学, 看護栄養学部, 助教 (40382387)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 医療的ケア / 保育園 |
研究実績の概要 |
本年度は、1)医療的ケア必要児の保育実態調査、2)保育士を対象に実施した質問紙調査分析および学会発表を実施した。 1)昨年度同様、本研究の主旨を説明し同意の得られた保育園1園に訪園し、①医療的ケアに関する資料・情報収集②参加観察法③半構造的面接調査の3つの方法にて、医療的ケア必要児の保育実態を把握するための調査を実施した。調査の結果、2名の医療的ケア必要児が入園していた。園で実施していた医療的ケアの内容は、経管栄養、吸引(気管内)であった。看護師1名が常勤しており、2名の医療的ケア必要児のうちの1名の専属担当になり、その児の医療的ケアとともに保育も主に担っていた。もう1名の医療的ケア必要児のクラスには加配保育士を配置し、医療的ケアが必要時のみ看護師が医療的ケアを実施するようにしていた。 2)A県内の保育士227名を対象に平成25年度実施した質問紙調査の分析を行った。回収数183(回収率80.6%)、有効回答180(有効回答率98.4%)であった。「医療的ケア」という言葉の聞知の有無について尋ねたところ、これまでに「聞いたことがない」と回答した保育士は99名(55.0%)であった。また、医療的ケア必要児の保育を知る機会の有無については、知る機会が「ない」と回答した保育士は105名(58.3%)であった。そして、医療的ケア必要児の保育について「知識があると思わない」と回答した保育士は164名(91.1%)であり、医療的ケア必要児の保育の研修や教育について、充分な研修や教育を「受けていないと思う」と回答したのは、166名(92.2%)であった。また、医療的ケア必要児の保育について「知りたいと思う」と回答したのは166名(92.2%)であった。この結果は、第20回日本保育園保健学会で発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の研究計画では、本年度は収集した資料や調査にて得られたデータを基に、医療的ケア必要児の保育実態についての分析結果をまとめ、医療的ケア必要児保育連携モデル(保育実践事例集)が完成する予定になっていた。しかし、保育園における医療的ケア必要児の保育実態調査が、初年度より大幅に遅れたため、本年度も引き続き研究協力園/研究対象者でのデータ収集を継続して実施した。現在、これまでに収集した全てのデータの分析を終了し、保育実践事例集の作成途中である。また、研究協力園である「ちっちゃなこども園にじいろ」の代表理事 末永美紀子氏から保育実践事例集に対する助言を頂きながら、完成に向けて作成作業を進めている段階である。
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今後の研究の推進方策 |
保育実践事例集を作成する過程において、研究協力園からの助言を基に保育実践事例集の作成を進めていく。また、保育士を対象に実施した調査の結果分析をさらに進め、医療的ケア必要児保育連携モデルをどのように示していくのかを精査していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成24年度から予定していた研究協力園での実態調査が出来なくなるなど研究の進行過程において研究対象保育園の抽出方法に問題が生じたため、研究計画の見直しを行い、平成25年度は全国の自治体への研究依頼を行い、保育園における医療的ケア必要児の保育実態に関するデータ収集を平成26年度まで実施した。平成26年度は収集した資料や調査にて得られたデータを基に医療的ケア必要児の保育実践事例集の作成に取り組む予定にしていたが、データ収集期間の大幅な変更があったため、現在、保育実践事例集の作成途中であり、未使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の研究費は、医療的ケア必要児の保育実践事例集の作成のための研究協力園との最終校閲に関する打ち合わせのための旅費や研究成果発表のための旅費、そして研究協力園への校閲に対する謝金に使用する。また、医療的ケア必要児の保育実践事例集の作成に必要な冊子作成費(業者依頼費、印刷費)や研究協力保育園や自治体へ完成した保育実践事例集の郵送費に使用する。
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