最終年度である今年度は、研究協力保育園の研究協力者と共に保育園における医療的ケア必要児の保育実態をまとめた報告書の作成を主に実施した。そして、報告書の完成度を高めるために情報収集や知見を目的に医療的ケアに関する研修会等にも参加した。完成した報告書は、今回の調査に協力いただいた自治体や保育園へ送付し、訪問が可能な保育園については直接、報告へ伺った。 本研究は、医療的ケア必要児の保育の普及性・汎用性を重視する観点から、医療的ケア必要児の保育に取り組んでいる保育園における医療的ケア必要児の保育の実態を明らかにし、保育園における医療的ケア必要児支援へ向けた看護師と保育士の保育連携モデルを構築するための課題を明らかにすることを目的とする。医療的ケア必要児の保育園入園状況や保育園での保育実態について調査を行った結果、医療的ケア必要児の医療への依存度の高さや医療的ケアを実施する看護師の雇用形態によって、看護師と保育士の医療的ケア必要児の保育における役割に違いはあることが分かった。また、どの保育園においても看護師と保育士が連携しながら、医療的ケア必要児の保育を行っていることも分かった。そして、医療的ケア必要児の保育に関する保育士の認識調査結果から、保育士の9割が、医療的ケア必要児の保育について「知りたいと思う」と感じていることが分かった。 保育園で医療的ケア必要児の保育を行うには、保育園で働く保育士が安心して医療的ケア必要児の保育が行えるように、訪問看護の活用も取り入れた保育園での看護師確保方法を検討し、保育士が医療的ケア研修を受けられるような保育現場の体制を整備する必要が示唆された。
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