本研究では、①青年期女性の骨盤形態の実態調査を行う、②骨盤形態と生活習慣・生活様式の関連を明らかにする、③骨盤形態と月経の関連を明らかにする、④月経周期に伴う骨盤形態の変化を明らかにすることを目的とした。 調査期間は平成24年12月から平成26年5月。骨盤形態の実態調査の対象は129名、質問紙調査および測定調査を行った。月経周期に伴う調査の対象は10名、月経期、卵胞期、黄体期の3時期の質問紙調査および測定調査を行った。調査内容は、属性、生活様式、生活行動に関する項目、月経に関する項目、身体的特性関する項目とした。測定内容は姿勢測定器(ザ・ビッグスポーツ社製PA200)では骨盤傾斜角、上前腸骨棘間の距離、体成分分析器(BIOSPACE社製InBody430)では体重、骨格筋量、体脂肪量、BMI、体脂肪率等の測定を行った。 骨盤形態をPA200で測定した結果、骨盤傾斜角18.2±5.1度、右側面骨盤傾斜角18.1±5.2度、左側面骨盤傾斜角18.3±5.4度、上前腸骨間の距離は270.1±23.4㎜であった。骨盤傾斜角は10度以上が骨盤前傾であると提示されており、対象の多くは骨盤前傾の姿勢であることがわかった。骨盤形態と生活習慣・生活様式の関連では、骨盤傾斜角は脚を組む癖があること、上前腸骨棘間の距離は下肢の外傷が残ることが関連していた。また、身体症状では頭痛がある者は骨盤傾斜角、上前腸骨間の距離が有意に開大していることが明らかになった。しかし、骨盤形態と月経との明らかな関連は認められなかった。骨盤形態と体組成との関連では、体水分量、骨格筋量が不足していると上前腸骨棘間の距離が縮小しており、骨盤形態と体組成との関連していることが明らかになった。月経周期に伴う骨盤形態を調査したが、月経期、卵胞期、黄体期の骨盤形態および体組成の有意な差は認められなかった。
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