本研究の目的は、布製ナプキンが女性のQOLの向上に有用であるかを検証する基礎資料とするため、布製ナプキン使用が女子学生の皮膚温度・体温・月経観・月経随伴症状・冷えの自覚に与える影響を明らかにすることである。最終年度となる平成28年度は、平成24~27年度において実施した実験研究(N=26)の分析を行った。 結果は、平均年齢は20.9歳、平均身長は157.6cm、BMIは20.7であった。通常使用している月経用品は、紙ナプキンのみ23名(88%)、タンポン併用3名(12%)であった。月経用品の選択理由は「もれにくい」「肌触りが良い」「取り扱いが簡単」の順で多かった。また不満は、「むれる」「ジメジメする」「すれる」「準備の時に音がする」の順で多かった。不快症状は、ムレ29名(96%)、掻痒感24名(80%)、かぶれ10名(33%)であった。また、以下の分析結果が得られた。1)布ナプキン使用前後のVAS得点の平均値は45.7から34.0に有意に低下していた(p=0.006)。2)布ナプキン使用による、体温・皮膚温度の影響は見られなかった。3)月経観は、布ナプキン使用後と紙ナプキン使用後での差は見られなかった。4)布ナプキンを使用した女子学生からのインタビュー・アンケート結果より、【経血のもれに対する安心感】【臭気の軽減】【あたたかさ】【肌触りの心地よさ】【通気性の良さ】【多湿環境の軽減】【面倒な洗濯】の7つのカテゴリーが抽出された。
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