研究課題/領域番号 |
24792516
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
吉川 未桜 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (40341523)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 子育て支援 / 看護 / コンピテンシー / 母親の心理 / 傷つき / エンパワメント |
研究概要 |
本研究の目的は、看護職による効果的・非効果的子育て支援の具体例から、よりよい子育て支援を行うために解決するべき課題を明確化し、看護職の専門性を効果的に発揮するための子育て支援者コンピテンシーを作成することである。平成24年度は医療・看護・保育など子育て支援に関連する学会・学習会に参加し、当該分野の最新知見を学ぶとともに文献の整理にて理論的背景を検討した。さらに、本年度は、子育て支援に関わる看護職の言動によってエンパワメントされるなどプラスの影響を受けたり、混乱や傷つきなどマイナスの経験のある母親を対象に面接調査を実施し、母親の語りから心理過程(看護職のどのような言動によって何が起こり、どんな心理的変化があったのか)とその後の影響を検討する計画であった。諸々の事情で本年度の研究協力者へのインタビューは実施できなかったが、科研採択前に個人研究として同内容でインタビューを実施していた4事例の検討を主に行った。逐語録データの比較分析は途中であるが、概念案には【丸ごと認めてもらえて救われた】【ちゃんと聞いてほしかった】など看護職に対する母親の率直な思いやその帰結が抽出されてきている。これまで特に子育て支援によるマイナスの影響については、医療モデルでの画一的支援に陥りがちであることを支援マニュアルなどで注意喚起の形で指摘されていたが、母親の心理過程を当事者の言葉から明確化した研究論文は見当たらない。今後、理論的飽和まで比較分析を継続し、支援の結果、母親に及ぼした影響とその要因を明らかにすることは、看護職の子育て支援者としてのコンピテンシーを導き出し、看護職の支援の省察的実践につながるものと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究協力者(看護職との関わりの体験を詳細に語ってくださる方)との時間調整がうまくいかなかったり、出産などで予定が変更となり、3月末までにインタビューを実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者との調整ができたため、順次インタビューを開始。半構造化面接と自記式アンケートを実施。逐語録の継続的比較分析を理論的飽和をめざし、面接・分析を継続する。また、インターネットのブログや投稿サイトに記載された保健師・助産師・小児科看護師への不満・母親の困惑・怒り等についても検討し、次年度以降の省察のためのデータとしたいと考えている。 これらの結果を元に、情報共有会を兼ね、子育て支援に関わる看護職側の認識を明らかにするため、フォーカスグループインタビューを実施。共に子育て支援に携わる看護職のコンピテンシーについて基礎的検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度は研究協力者へのインタビューがなかったため、約15万円を次年度へ繰り越した。平成25年度からインタビューが開始となるため、研究協力者への謝金(3千円×10人=3万円)、データ起こし等アルバイト代(9万円)、交通費(3万円)等を支出する予定である。
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