研究課題/領域番号 |
24792516
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研究機関 | 福岡県立大学 |
研究代表者 |
吉川 未桜 福岡県立大学, 看護学部, 助教 (40341523)
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キーワード | 子育て支援 / 母親 / 看護職 / エンパワメント / 傷つき |
研究概要 |
平成25年度は、昨年度に引き続き、子育て支援に関わる看護職の言動によってエンパワメントされたり傷ついたりした経験のある母親を対象に面接調査を実施し、母親の心理的な影響を検討した。昨年度の4事例に今年度の3事例を加えて比較分析を行った。マイナスの影響についての語りが相対的に多く、構成する概念として【丸ごと受け止めて聴いてほしい/丸ごと聴いてもらえる・認めてもらえると救われる】【一般的アドバイスならいらない】【看護職の自信・使命感からくる何気ない一言が傷つく】【言葉が突き刺さる】【疑われると辛い】【フォローされてもショックは消えない】【専門家の言葉は影響が大きい】【相手の看護職に自分の傷ついた思いは言えない】【友人に傷ついた体験を情報提供/一人で悩み続ける人もいる】【傷ついた経験は新たなサポートを見つけるきっかけ=ママ友達が頼りになると分かる】【専門職にも色々な人がいると学ぶ】【専門家との付き合い方を学ぶ(話は半分だけ聴く)=自分で決めるようになる】等が浮上した。研究協力者以外の一般の母親の思いを質的なデータで確認するために、誰もが自由に書き込める複数の電子掲示板で看護職への書き込みを概観したところ、「感謝」「安心」などの表現のほか、看護職の指導的な態度だけではなく、“横柄”な態度や“心無い言葉”・“無責任な言葉”等に対して「悔しかった」「悲しかった」「二度と会いたくない」などの強く感情を表出する言葉も多く見られた。一部の看護職との関わりによって様々な思いを抱く母親の現状が示された。今後、看護職の支援の省察的実践に活かせるようインタビューを理論的飽和まで比較分析を継続し、よりよい子育て支援を行うために解決するべき課題を明確化するとともに、エモーショナルサポートやコンコーダンススキルなども参考にした看護職の専門性を効果的に発揮するための子育て支援者コンピテンシー作成につなげる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論的飽和を目指し、平成25年度はさらに4名のインタビューを予定していたが、インタビュー予定であった協力者(1名)の子どもの入院・体調不良等が重なり、年度末までにインタビュー予定が遂行できなかった。分析遅れのため、それ以降に予定していた子育て支援に関わる看護職との情報共有会も順延し開催できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究協力者へのインタビューを理論的飽和まで続ける。また、これらの結果をもとに、子育て支援に関わる看護職とのフォーカスグループインタビューを開催し、コンピテンシーに関する検討および量的調査を行う。看護職のための子育て支援者コンピテンシー作成にあたっては、子育て支援に関わる看護職だけでなく、本研究の基となる一般的な子育て支援者のコンピテンシー作成者にも協力を依頼し、より看護職の専門性に特化した内容を目指す。
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