本研究の目的は、1)妊婦の日常生活活動量を知った上で、妊娠期の栄養状態を縦断的に調査し、新生児の体重減少率との関係を検討する、2)新生児の体重減少率が7%以上となった事例に関して、低血糖症候群と非低血糖症候群に分け、妊娠期の母体の栄養状態について比較し、低血糖症候群に関連する妊婦の栄養状態を中心とした生活習慣について明らかにすることである。これら明らかとなった内容を、妊娠期の食事指導を中心とした保健指導に役立てることを目指している。本調査実施前の情報で、医療スタッフの中には、ここ数年の間でも、乱れた食生活をしている妊婦が大変増加していると認識している者がいることが明らかとなった。さらに、大きな自然災害の発生後、日常生活を取り戻した後も、妊婦や若い母親が、望ましい食生活が送れていない現状がある事を危惧する者もいることが分かった。妊娠中の食生活は、妊娠期の合併症の発症や胎児成長に影響し、分娩後の母親の食生活は、母乳育児やその後の子どもの成長に関わる。今回の調査は、胎児期の母体の栄養状態が、分娩後の新生児の状態に影響を与えるかどうかに焦点をあて、妊娠中の望ましい栄養状態を模索する事で、母乳育児の推進に役立てる事を目指している。しかしながら、現状は、新生児が低血糖を起こすことなく、母乳育児を継続することを目指す以前に、根本的に妊婦の栄養に関する認識を変えなければならない位深刻な状況が生じている事が分かった。以前より、平成27年度は、作成した質問調査用紙を使用し、データ収集を終了させる予定であったが、調査者の所属施設の変更に伴い、フィールドでの本調査が進められなくなるという状況が発生したが、今後、状況により、新たな調査施設を追加し、引き続き調査を続け、生活環境の異なる対象者の実態を検討する事も考えている。
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