今年度は、医師のインタビュー調査を中心に行った。対象となった医師は4名であった。医師は、自らが必要だと判断した場合には、患児に友達の死を伝えていた。その際の判断基準としては、子ども同士の関係性の深さ、患児の病状の安定度、患児の年齢、亡くなった子どもと患児の主治医が自分であるか、などがあった。一方不要だと判断した理由には、医師が友達の死を患児に伝えることに嫌悪感を感じたり、個人情報保護の観点から伝えることがはばかられる感覚があること、年齢が小さく伝える必要性が低いと感じること、さらに子どもが知りたいと思っても母親が伝えないでほしいと依頼されたことが挙げられた。 看護師と医師のインタビュー調査を通じて、看護師と医師の持つ友達の死を患児に伝えることへの考えの類似点と相違点が明らかになった。まず類似点は、どちらも子ども同士の関係性の深さや患児の年齢を考慮している点であった。相違点は、医師は伝えるかどうかについて他の医療職者に相談していなかったが、看護師はチームで伝えることの妥当性や伝え方を検討していることが今回の研究対象からの聞き取りで明らかになった。 現在のところ、個々の医師や看護師が問題意識や必要性を感じることが友達の死を伝えるスタートになっており、病棟で子どもが亡くなっても、チーム全体で遺された患児へのケアの必要性の判断を共有する段階には至っていない、ということがいえる。 今後は、友達の死を経験した患児や家族の経験の聞き取りをし、当事者が必要とする支援と医療スタッフの考えのずれを明らかにし、双方に必要な支援を検討する必要があると思われる。
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