研究実績の概要 |
本研究の主な目的として、①転倒・転落防止プログラムの改訂版を作成し、予測精度としてアセスメントツールのAUC(ROC曲線下面積)、感度、特異度を明らかにする、②転倒・転落防止プログラム第2版の効果を明らかにする、として2012年10月から2013年3月に小児が入院する10病棟にて調査を実施した。 サークルベッド用アセスメントツール第2版は、転倒の発生を有意に高めた危険因子が10項目であり、ベッドからの転落の発生を有意に高めた危険因子が11項目であった。予測精度を示すAUCは0.81、感度は0.78、特異度は0.73であった。第2版の結果をもとに作成した第3版のAUCは0.83~0.84であった。 成人ベッド用アセスメントツール第2版は、転倒の発生を有意に高めた危険因子が9項目であった。AUCは0.91、感度は0.83、特異度は0.87であった。第2版の結果をもとに作成した第3版のAUCは0.91であった。 転倒・転落防止プログラム第2版は3,501名のうち1,338名に実施した。プログラムの実施以前とプログラムの実施中の6か月間の転倒・転落率(単位は1,000患者日)を比較した結果2.06から1.53へと減少した。 最終年度は2014年2月から7月にかけて、小児病棟の看護師13名を対象に調査を行った。アセスメントツールの評価者間信頼性を検証するために、1名の小児患者に対して2名の看護師がアセスメントツールを評価した。危険因子の該当の有無およびリスク判定(ローリスクまたはハイリスク)が2者間でどの程度一致するかについて一致度(カッパ係数)を算出して信頼性を分析した。各危険因子のカッパ係数は1.0~0.41であった。リスク判定(ハイリスク、ローリスク)のカッパ係数は0.85であり、看護師間での信頼性は十分な値を示すことができた。
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