研究課題/領域番号 |
24792539
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
池崎 澄江 千葉大学, 看護学研究科, 講師 (60445202)
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研究期間 (年度) |
2013-02-01 – 2016-03-31
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キーワード | ナーシングホーム / 高齢者施設 / ケアの質 / 看護管理 |
研究実績の概要 |
2年目にあたる当該年度においては、既に50近くの海外のナーシングホームのケアの質に関連した文献を整理し、最新の質管理システムおよび職員向けの自記式調査票に用いる尺度の探索を行った。その中で、看護・介護も含めたチームケアによる職員の意識や行動がケアの質に関係することを研究している、Helena Temkin-Greener教授(ローチェスター大学、アメリカ)が作成した「Interdisciplinary Team Process and Performance Scale; ITPPS」を発見し、著者に翻訳および使用許可を得た。さらに、逆翻訳および複数の研究者らで表面妥当性の検証を行い、10名への予備調査を行った。いずれも適応可能であることがわかったが、本スケールは、7つのサブスケールが含まれており、全項目数が50以上となるため、実際の調査においては、用いるサブスケールを取捨選択する必要があると考えている。 特別養護老人ホームおよび介護老人保健施設の看護管理者の3名にインタビューを行い、施設内での職員教育およびケアの質保障のための管理体制について、現状を聞き取った。彼女たちは、いずれも当初介護施設の現場の経験がないままに、法人の体制の中で管理者に抜擢されていた。したがって、着任当初は、とまどいが多かったことが語られたが、病院とはちがう人数体制の中で、看護と介護の主任クラスのスタッフが互いを理解し、入居者のために何ができるか、を話合うことを通じてチーム意識が向上したと述べていた。特に、高齢者現場では利用者や家族からのフィードバックがない環境は、スタッフのバーンアウトにつながりやすく、スタッフのモチベーションを維持することが、結果的に質のよいケアを提供する力になることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
前年度の遅れから引き続き、乳幼児の育児により、計画どおりに進めることができなかった。調査票に用いる尺度の予備調査までは実施できたが、本調査に入る前に、高齢者施設のインフルエンザシーズンに入り,職員に調査の協力を依頼するのがより困難になってしまい、結果的に本年度に計画していた本調査を行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
まずは夏休みに入る前に調査を実施し、秋からはインタビュー調査に入るよう、計画している。そのための体制として、一時的にアルバイトや大学院生を積極的に活用する。
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次年度使用額が生じた理由 |
出産後の育児により、研究に従事する時間が減少し、研究の進捗が計画通り進められていなかった。また、海外の研究者が開発した尺度を使用することにしたため、その使用許可・翻訳をする必要があり、結果的に予備調査しか実施できず、本調査を実施することができなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は、前半のうちに、本調査を実施し、速やかに事例研究(インタビュー調査)に着手する。後半においては、研究論文の執筆・公表できるようにする。
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