千葉県内の特別養護老人ホームにおける施設長、看護職、介護職に対して質問紙調査を行った。回答は無記名とし、返送は直接、研究機関宛とした。調査は2016年2月に実施し、約50施設、300名のデータが得られた。 施設長の回答は約50名であった。介護・福祉系の資格・経験を有する者は半数程度にとどまった。看護師、薬剤師等の医療系資格を有する者が5%程度いた。施設長が最も課題に感じていることは、第一に職員の慢性的な不足と、第二に出入りが多い介護職員への一定レベルの教育体制の定着に関してであった。いずれも人員管理に関するもので、質的なレベルアップを検討する余裕がないことがうかがわれた。施設の方針を常に職員に周知するようにしていたのは半分程度にとどまっており、看取りケアに関しては、看取り介護加算算定をしていても、嘱託医は「あまり協力してくれない」、嘱託医師への満足度は「やや不満」「どちらともいえない」という回答が多かった。 介護職員においては、総じて職務への満足度が低く、これらの職務満足度は、職種間でのコミュニケーションとの関連はみられなかった。自由記載では、一緒にコミュニケーションを楽しむことができない重度の認知症かつ要介護の入居者が増えており、生活を楽しむ個別性へのケアのやりにくさや、若い職員が定着しないために職員全体の高齢化と労働負担が指摘されていた。 看護職員においては、施設長や家族との対話を不十分と感じている傾向があった。総じて介護職員との連携はとれていると評価している方が、職務への満足度が高い傾向にあった。
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