研究課題/領域番号 |
24792547
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研究種目 |
若手研究(B)
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
五十嵐 久人 信州大学, 医学部, 准教授 (90381079)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 非正規雇用 / メンタルヘルス |
研究概要 |
平成24年度は平成25年度以降実施するアンケート調査の為の項目の精選や検討を行う為、産業保健師や産業医を対象に非正規雇用者の雇用実態、雇用形態の違いによる支援体制の差の有無や非正規雇用者の特徴等について職場での実感や課題などを中心に聞き取りを行った。結果、非清雇用者では、職場環境や職場の人間関係への不満などを訴える傾向にあり、正規雇用者では自身に課せられた業務への責任へのストレスが強い傾向にあるという意見が聞かれた。この事からも雇用形態の違いによってストレスと感じている部分に違いがある可能性が考えられ、今後の調査内容の検討に寄与する資料が得られた。 また、中小企業に勤務する非正規雇用者と正規雇用者のストレス状況の違いの有無の把握と調査票の課題抽出の為、職業性ストレス簡易調査票およびQOL尺度を用いたpre-testを実施した。結果、QOL尺度については雇用形態による差は認められなかった。また、そのスコアを見ると、身体的なQOLは高いのに対して、精神的なQOLが非常に低い傾向にある事が示された。職業性ストレスについては、男性雇用者においてほとんど差が見られなかったのに対して、女性雇用者においては、複数の項目で差が認められた。それらの項目の多くは正規雇用者の方がストレス度が高くなっていた。Pre-test実施にあたり、非清雇用者の方がストレス度が高いのではないかと仮定していたが、それとは異なる結果となった。要因として、女性の非正規雇用者のほとんどがパートであった事から、自らのライフスタイル等を考慮し、自らが望んだ雇用形態である可能性が高く、差が生じている可能性があり、雇用形態をより細分化した調査・分析の実施の必要性がある事が示され、今後の調査に寄与するものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成24年度は平成25年度以降実施予定であるアンケート調査に向けた項目の精選や検討という意味合いが強く、それらを達成する事はできた。しかし、研究目的の1つである非正規雇用者のメンタルヘルスのサポート体制に関する実態については、インタビューを通しても不明瞭な点が多く、十分な情報が得られていない為、更なるインタビューの実施などが必要である。 また、当初計画には組み込まなかったQOLや職業性ストレスに関してPre-testを実施でき、課題の抽出等が早い時点から実施出来ており、今後の調査・研究を遂行するにあたり、有用な資料を得る事ができている。
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今後の研究の推進方策 |
当初計画に基づき、今後は非正規雇用者を雇入れしている中小企業を抽出し、勤務している労働者を対象としたメンタルヘルスやQOLなどについてのアンケート調査を実施し、非正規雇用者と正規雇用者の比較を通した特徴や課題の抽出を行っていく。また、平成26年度以降に計画している中小企業を対象としたメンタルヘルス対策などの健康管理実施状況に関する調査については、平成25年度内からの実施が可能かを検討しつつ、分析や課題検討に十分な時間を割り当てる事ができるように配慮し、実施して行くものとする。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初計画に対して小額の繰越金が生じているがインタビュー協力者への謝金が不要になったこと等が影響して生じているもので、研究の進行に大きな変更は生じるものではない。次年度以降についても各年度の研究計画に従い研究費を執行して行く計画である。
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