研究課題/領域番号 |
24792550
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研究機関 | 滋賀医科大学 |
研究代表者 |
蓑原 文子 滋賀医科大学, 医学部, 助教 (60583599)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 胃瘻 / 代理意思決定 / 家族 / 訪問看護師 |
研究実績の概要 |
平成24年度に、胃瘻造設に関する代理意思決定を行った家族が、造設から看取り、死別後に至るまでどのような心理的変化を辿るのか質的研究を行った。 その結果、胃瘻造設代理意思決定を行った家族は【食べられないことに直面】しながらも、【胃瘻造設に関するイメージの具体化】を行う中で【生きるための自然な選択】として造設を決定していた。そして造設後は、慣れない胃瘻介護に対して【試行錯誤しながらの介護生活】送りながらも、徐々に胃瘻介護に対する技術を獲得し【心身ともに安定した介護生活】を行うことが出来るようになっていた。その心身の安定は、患者から非言語的に伝わる気持ちなどを感じる余裕につながり、家族は【介護する意義を実感】していた。家族はこれらのプロセスを経ながら、【看取るための準備】を行っていた。そして看取り後は、患者が精いっぱい生きてくれたことへの感謝などといった【日々振り返る中での心の整理】を行っていた。しかし、胃瘻造設から看取り後に至るまで、家族は【自分の決定に対する心のゆらぎ】を常に感じていた。それは、造設時【生きるための自然な選択】であった胃瘻が、介護が長期化し、患者や家族の身体状況が大きく変化し、胃瘻によって生かされていると感じる中で、心のゆらぎも比例して大きくなっていた。平成26年度は上記研究結果の学会発表準備と、論文作成準備を行った。今後引き続き、論文作成準備を行うと共に、さらに今回の質的研究成果を基に、胃瘻造設をしない代理意思決定を行った家族の心理プロセスを明らかにするための予備調査として、胃瘻造設をしない代理意思決定を行った家族を支援した経験のある訪問看護師に対して、具体的な食事支援や代理意思決定をした家族の思いをどのようにとらえ、支えたのかなどについてインタビューを行い質的に明らかにするための準備を進めている段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
育児休暇取得のため研究を10月まで中断していたため。
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今後の研究の推進方策 |
1.胃瘻造設代理意思決定を行った家族の心理的プロセスについて研究成果発表に向けての準備を行う。6月に行われる老年看護学会での発表と、その後の論文投稿の準備を行う。 2.胃瘻造設をしない代理意思決定を行った家族の心理的プロセスについて明らかにするための予備調査を行う。胃瘻造設をしない代理意思決定を行った家族を支援した訪問看護師に対して、具体的にどのような支援を行ったのか、支援の過程での迷いや、食に対する思いなどについてインタビューを行い質的に研究を行う。 3.2の予備調査をもとに、インタビュー項目を検討し、胃瘻造設をしない代理意思決定を行った家族の看取り後までの心理プロセスを明らかにする。 4.1~3の研究を基にして質問紙を作成し、量的分析を加えトライアンギュレーションを行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
産前産後の休暇または育児休業により、平成25年度8月26日から平成26年度9月30日まで研究を中断していたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成24年度の研究をもとに、質的研究を行うための物品購入や郵送費等
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