本研究の目的は、自己決定が困難な高齢者の胃ろう造設に関する代理意思決定を行った家族が抱く心理的葛藤を軽減するためのサポートシステムを構築することである。 平成24年度に胃ろう造設を代理意思決定をした家族の心理が、造設から看取りまたその後に至るまでどのように変化をするのかを明らかにするために、家族7名に対してインタビュー調査を行った。 平成28年度は、そのインタビュー調査を、修正版グラウンデッドセオリーアプローチを用いて再分析した。その結果、12の概念と3つのカテゴリーが生成された。造設時、家族は、胃ろうは【延命ではなく自然な経過】として捉えていたが、被介護者や家族自身の心身の変化が生じる中で、【まざまざと感じる延命の念】を大きくしていた。そして、胃瘻を造設した後、長い介護期間を経て終末期に至った際の胃瘻から 注入する栄養剤の減量・中止の選択は、家族にとって被介護者の命を断つような感覚を抱かせていた。医療者は、そのことを理解し、家族がその選択を受け入れることができるよう、看取りへのケアを含む支援をしていく必要性が示唆された。また高齢者に代わって【胃ろう選択したことの支え】として<管理ができる便利さ>や<胃ろう選択を承認するような生活風景>、<胃ろうは自分が決めたこと>というような責任感が支えとなっていた。また今までの年月の中で築き上げられてきた関係性から生まれる<情愛の絆>も胃ろう選択の支えとなっていた。 平成29年度は前年度に再分析を行った研究成果を日本老年看護学会誌に論文投稿した。
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