研究課題/領域番号 |
24792553
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤本 浩一 神戸大学, 保健学研究科, 助教 (20467666)
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キーワード | 精神科医療 / 訪問看護 / 暴力 |
研究概要 |
平成25年度は、本研究課題に2施設6名の精神科訪問看護師に参加協力を得た。研究対象の性別は男性1名、女性5名で、年齢は40~60歳代、看護師経験期間は5~30年、精神科訪問看護の経験期間は5~10年であった。 研究対象者には、精神科訪問看護の利用者からの暴力が発生したエピソードについて語ってもらうことを中心に、半構造化面接を実施した。その音声データの質的帰納的分析から、下記①~③における精神科訪問看護師のスキルとして、観察、判断、技術・実践をそれぞれ抽出した。 ①精神科訪問看護師が利用者からの暴力を予防するための観察として(訪問前電話での対応状況)(利用者の言動)(利用者の表情)、判断として「訪問看護の受け入れの良い/悪い」、用いる技術・実践として<訪問看護に関する利用者のイメージを得る>などを抽出した。 ②利用者からの暴力が発生するリスクが高い状況での観察として(利用者の言動)(利用者の精神症状)、判断として「興奮している」「興奮はいずれ鎮まる」、用いる技術・実践として<利用者と距離をとる><時間の経過を待つ><傾聴する>などを抽出した。 ③利用者からの暴力が発生した状況での観察として(利用者の言動)(利用者の精神症状)、判断として「利用者が何らかの不満を有している」、用いる技術・実践として<自身の情動のコントロール><傾聴する><利用者のニードを探る><利用者を医療につなげる声かけ>などを抽出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度中に精神科訪問看護師10名に参加協力を得て研究データを収集する予定であったが、本研究課題に投じるエフォートが十分に確保できなかったことから、目標とする研究対象者数に達しなかった。 また平成24年度の達成度に表記したように、暴力発生に至るまでのパターンが幾つか存在することについて、パターンごとのエピソードを収集・集積したいと考えていたが、平成25年度に収集・集積できたパターンには偏りがあり、十分な分析に至ることが難しいパターンがある。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度よりも、本研究課題にエフォートを確保できるよう日頃の業務を見直し、研究課題に邁進できるよう努力する。 平成26年度は本研究課題の最終年度であることから、概ねデータの分析ならびに発表に充てる予定であった。しかし研究計画の遂行に遅れが生じているため、当初予定していた研究対象者数20名からデータを得ることを目標にしつつ、暴力発生に至るまでのエピソードのパターンに配慮して、研究データを収集・分析する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度は本研究課題の遂行に十分なエフォートを投入できなかったため、研究データの収集に必要な交通費等を支出額が少なかった。また同じ理由から研究データの整理等を担う研究補佐員を雇用しなかったため、次年度使用額が発生した。 平成26年度は当初予定していた研究対象者数までデータ収集を進める予定であるため、交通費などに支出を充てる予定である。また研究データの整理等を担う研究補佐員を雇用して研究データの整理を進め、本研究課題の遂行・達成を促進する計画としている。
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